KDDIがマンション一括受電に参入、割引率は5%か50%電力供給サービス

KDDIは2014年9月からマンション向けの電力小売り事業に参入し、「auエナジーサプライ」と呼ぶ高圧一括受電サービスの提供を開始する。専有部(各戸)の電気料金を約5%割り引くプランか、共用部を最大約50%割り引くプランのどちらかを各マンションが選ぶ。

» 2014年08月29日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 KDDIは2014年9月1日からマンション向けの電力小売り事業に参入すると発表した。「auエナジーサプライ」と呼ぶ高圧一括受電サービスである。「今後の電力小売自由化に向けたサービスに先駆けて、まずはマンション向けのサービスを充実させる。マンションではエネルギー管理のニーズが高まっているからだ」(KDDI)。

 「グループ企業J:COMの子会社であるアイピー・パワーシステムズが既に一括受電サービスの提供を開始しており、(新築マンション向けでは)業界大手である。『auエナジーサプライ』ではKDDIが提供主体となり、協力して普及させたい」(KDDI)。まずは東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県からサービスを開始する。「全国展開を視野に入れているものの、参入当初はまず首都圏から足場を固めていく。新築住宅と既築住宅に向けてほぼ同程度の重み付けでサービスを展開していく」(同社)。

料金体系を2つに絞る

 一括受電を導入すると、マンション全体の電力の契約が変わるため、電気料金は下がる。下がった電気料金をどのように配分するかは、一括受電サービス事業者によって異なる。auエナジーサプライでは、マンションごとに2つの割引プランのどちらか一方を選ぶ形を採った。

 1つは専有部割引プランであり、専有部(各戸)のみ電気料金が約5%下がる。もう1つが共用部割引プラン。共用部のみ最大約50%を割り引く。「専有部割引プランはマンションごとの作りの影響を受けにくく、約5%という割引率はあまり変化しない。しかし、共用部割引プランでは割引率が50%よりも低くなる可能性がある。多数のエレベーターを導入していたり、広いロビーに多数の照明器具を配置していたりした場合だ」(同社)。廊下の照明のみに共用部の電力を使っているときには、割引率50%が実現しやすい。

 auエナジーサプライ導入後のマンション内外の構成を図1に示した。マンションの管理組合と合意後、各戸から同意書を集め、KDDIが所有する受変電設備をマンション敷地内に設置する。各戸には既存の電力計の代わりにスマートメーターを設置する。スマートメーターから得た情報は課金に利用する。「クラウドを経由し、スマートフォンなどを用いて電力情報を閲覧できるサービスを企画している」(同社)。

図1 KDDIが提供するサービスの全体像 出典:KDDI

 「現時点では、(当社が得意とする)通信サービスと組み合わせたメニューは用意していない。『セット割』は今後の検討課題として残っている」(同社)。

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