真夏でも減り続ける発受電電力量、8月は前年同月比で7.9%も減少電力供給サービス

電力会社10社の発受電電力量の減少傾向が加速している。本来ならば年間で最も多くなる8月の発受電電力量が7月よりも低い水準にとどまった。前年8月と比べると7.9%の減少で、さらに震災が発生した直後の2011年8月の発受電電力量さえも大幅に下回っている。

» 2014年09月16日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2014年8月の電力会社10社の発受電電力量は790.3億kWhの低い水準にとどまった(図1)。7月の799.5億kWhよりも少なく、例年にない傾向を示している。前年8月の858.4億kWhと比べて68.1億kWhも減少して、7.9%の大幅な減少率に達した。今週19日には8月の販売電力量の速報値が発表される予定だが、同様に前年同月比で7%前後の落ち込みになることは確実だ。

図1 電力会社10社による2014年8月の発受電電力量(▲はマイナス)。出典:電気事業連合会

 電源別の発電量を見ると、水力は前年同月から16.0%も増えたほか、新エネルギーも4.6%の増加率になっている。水力・新エネルギーともに7月と比べても伸びていて、発受電電力量が減少する中でも自然エネルギーは着実に増えている状況だ。

 一方で火力が9.1%も減り、それに伴って揚水動力も34.2%と大幅に縮小した。火力が大半を占める他社からの受電量も減少を続けている。電力会社が供給する電力の中でもCO2を排出しないクリーンエネルギーの比率が高まっていて、需要の減少に合わせて今後さらに比率が上昇していくだろう。

 10社の発受電電力量は2014年度に入って4月から5カ月連続で前年を下回っている(図2)。7月の減少率が4.0%(速報値では3.9%)と大きかったが、8月は7.9%減へ拡大した。直近1年間で見ても最大の減少率で、東日本大震災の後の2011年9月に8.9%の減少率を記録して以来の大幅な落ち込みである。

図2 直近1年間の前年同月と比べた増減率(▲はマイナス)。出典:電気事業連合会

 3年前の2011年8月の発受電電力量は841.8億kWhだった(図3)。当時は震災直後の電力不足の心配から、東日本を中心に企業と家庭の双方が徹底した節電対策を実施した結果、前年同月から12.1%も低い水準に収まった。それでも2014年8月と比べれば51.5億kWhも多い。それぞれの年で天候の違いが多少あるとはいえ、この3年間で国全体の電力需要を抑制してきた効果が顕著に表れている。

図3 2011年8月の発受電電力量(▲はマイナス)。出典:電気事業連合会

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