家庭や企業の蓄電池をつないで電力を安定供給、2016年4月にサービス開始エネルギー管理

太陽光発電の増加が地域の電力需給バランスに影響を与える状況になってきたが、解決策の1つが蓄電池の活用だ。NECは家庭や企業に設置されている多数の蓄電池をネットワークで制御するサービスを2016年4月に開始する予定で、先行して2015年に特定の地域で実証事業を始める。

» 2014年10月09日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 NECが世界で初めて開発した「リアルタイムデマンドレスポンス」の技術を利用したサービスになる。この技術は家庭や企業に設置されている蓄電池をネットワークでつないで、電力の需給状況に合わせて充電と放電を制御する(図1)。1秒以内の需給バランスでも調整できるため、このところ問題になっている太陽光発電の出力変動に対応することも可能だ。

図1 蓄電池を活用した「リアルタイムデマンドレスポンス」の仕組み。出典:NEC

 サービスの利用対象は発電事業者や小売事業者のほか、地域の需給調整機能を果たすアグリゲータである。2016年4月に実施する小売全面自由化によって、発電事業者や小売事業者は電力を安定供給する役割が従来よりも高まる。発電事業者は太陽光や風力による出力変動の影響を調整するために蓄電池の設置を求められる一方、小売事業者はデマンドレスポンスなどを実施して需要を抑制する機能が必要になる。

 NECは2016年4月をめどにサービスを開始して、地域に分散する蓄電池を活用した需給調整機能を各事業者に提供する。本サービスの前に特定の地域で実証事業を進める計画で、2015年の早い時期に着手する見込みだ。今のところ多数の蓄電池をネットワークでつないで電力の需給バランスを調整できるサービスはほかになく、国内ではNECが先行している。

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