ヤギは除草に役立つのか、鳥取で検証自然エネルギー

SBエナジーが大規模太陽光発電所を拡大しながら、新しい試みにも着手し始めた。新しい試みとは、ヤギによる除草だ。900m2の土地にヤギ2頭を放ち、他の除草方法と比較する。

» 2014年10月14日 19時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 SBエナジーが大規模太陽光発電所を拡大しながら、新しい試みにも着手し始めた。新しい試みとは、ヤギによる除草だ。

 太陽光発電所の運営・管理に占める除草の費用は意外に大きい。大規模太陽光発電所は出力1MW当たり1万5000m2以上の土地を必要とする。除草費用は立地や条件によって左右されるものの、1m2当たり、20円〜150円必要である。

 SBエナジーと三井物産、鳥取米子ソーラーパーク、大協組は、2014年10月、ヤギによる除草試験を開始すると発表した。2014年2月に運転を開始した「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」(出力約42.9MW、約53万2000m2)の付帯施設が対象だ。発電所併設の「とっとり自然環境館」と駐車場周辺の約900m2を対象として、ヤギ2頭を配置する(図1)。「2014年10月17日から11月30日までの期間で、計算上はヤギによる除草が完了する。だが、ヤギの世話やフンの掃除など隠れたコストがあるはずで、これを洗い出すことが目的だ」(SBエナジー)。除草効果や除草品質、機会除草との比較などを検証する。

図1 除草試験で働くヤギ2頭 出典:SBエナジー

道央でメガソーラーを拡大

図2 北海道白老町と発電所の位置

 北海道ではSBエナジーが単独で2014年10月に大規模太陽光発電所「ソフトバンク白老ソーラーパーク」の運転を開始した(図2、図3)。太平洋に面した白老(しらおい)町の工業団地「石山工業団地」の区画(約5万800m2)を使い、出力2.6MWの発電所を立ち上げた。

 計画立案は2012年にさかのぼる(関連記事)。このとき、白老町のメガソーラー設置計画にSBエナジーが公募、選定されている。完成が遅れたのはなぜだろうか。「バンク逆潮流*1)の問題が表面化し、送電線への接続ポイントが変わったため、発電所の設計を変える必要があった。着工したのは2014年6月である」(SBエナジー)。

 設計・調達・建設(EPC)は、京セラコミュニケーションシステムが担当。京セラの多結晶シリコン太陽電池モジュールを1万752枚設置した。「積雪に対応するため、架台の高さを当社の他の発電所よりも高くしている。太陽電池モジュールの設置角度は30度だ」(SBエナジー)。

 想定年間発電量は年間約264万kWh。これは一般家庭約736世帯分の年間電力消費量に相当するという。

*1) バンク逆潮流とは、配電用変電所の変圧器で逆潮流(逆方向の電流の流れ)が発生する現象。多数の太陽光発電所を建設したり、大規模な発電所を立ち上げると、配電網への逆潮流が集中し、配電系統全体の電圧が上がる。これが原因だ。保安上の問題が起こる可能性があるため、逆潮流が生じないように(計画していた)出力を下げたり、配電線などを新設する必要がある。現在の法制度(経済産業省の省令)では、変電所に事業者負担によって保護装置を設置することで、逆潮流に対応できるようになった。

図3 ソフトバンク白老ソーラーパークの外観 出典:SBエナジー

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