人造湖に7メートルの遊休落差、小水力発電に生かして199kW電力供給サービス

福井県の内陸部にある「九頭竜湖」には、取水口や注水口が数多くある。そのうちの1カ所で小水力発電所を建設する工事が始まった。注水口から湖に流れる7メートルの水の落差を利用して199kWの電力を供給することができる。J-POWERが2016年5月に運転を開始する予定だ。

» 2014年10月31日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 J-POWER(電源開発)が小水力発電所を建設する場所は、福井県の東部に広がる「九頭竜湖(くずりゅうこ)」の一角にある(図1)。この湖は発電と治水を目的にダムを建設してできた人造湖で、渓谷の形に合わせて八方に細長く水面が伸びている。

図1 「このき谷発電所」の建設地点。出典:J-POWER

 九頭竜湖に流れ込む川の1つに「此の木谷川(このきだにがわ)」がある。川から湖に注水する場所には落差があって、豊富な水量を小水力発電に利用することができる。J-POWERは注水口の近くに堰(せき)を設けて、そこから落差が7.4メートルの地点に水車発電機を設置する計画だ(図2)。

図2 発電所の完成イメージ。出典:J-POWER

 発電能力は最大の水量(毎秒3.2立方メートル)を利用できた場合に199kWになる。年間の発電量は不明だが、小水力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)の標準である60%で計算すると約100万kWhになる。一般家庭で300世帯分の電力使用量に相当する。運転開始は1年半後の2016年5月を予定している。

 J-POWERは国土交通省と共同で1968年から九頭竜ダムを運営している。同時にダムを利用した揚水混合式の「長野発電所」(発電能力は22万kW)を40年以上にわたって運転してきた。最近では全国にある既設のダムを対象に、未利用の水流を生かした小水力発電を推進している。

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