360年前に造られた大池に、太陽光パネルを3通りで浮かべて実験開始自然エネルギー

ため池の数が全国で3番目に多い香川県の歴史ある大池で、11月20日から太陽光発電の実証実験が始まる。水面に浮かべるフロートは素材の違う3種類を用意して、合計72枚の太陽光パネルで発電量を比較する。県内に約1万5000カ所あるため池を活用した再生可能エネルギーの拡大につなげる。

» 2014年11月20日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 水上式の太陽光発電を実施する場所は、香川県の善通寺市にある「吉原大池(よしはらおおいけ)」である(図1)。雨の少ない瀬戸内式気候でも農業を営めるように、約360年前の1652年に造られた。満水時の面積が10万平方メートルにもなる大きなため池の水面に、太陽光パネルを浮かべて実証実験を開始する。

図1 「吉原大池」の全景。出典:香川県農政水産部

 太陽光パネルの設置方法を3通りに分けて、それぞれの発電量を比較検証する計画だ(図2)。最大の検証ポイントは太陽光パネルを水面に浮かべるためのフロートの素材や構造である。風の影響で水面が揺れたり水位が変動したりすることによって、太陽光パネルの向きが変わり、水に濡れる可能性もある。その結果、発電量に違いが生じる。

図2 太陽光パネルの設置方法

 3種類のフロートのうち1種類は樹脂(プラスチック)製で、面積が大きくて中空の構造になっている。残りの2種類は軽量の発砲スチロールを使う。さらに太陽光パネルの設置角度は12度を標準にしながら、3種類目のフロートでは5度と30度でも設置する。

 実証実験を担当する香川県の農政水産部は2016年3月末まで発電量の計測を続けて、ため池に最適な設置方法を確認する方針だ。発電した電力を四国電力に売電するため、池の端にパワーコンディショナーも設置する(図3)。実証実験の結果が良ければ、県内に数多くあるため池に太陽光発電を展開することが可能になる。

図3 実証実験施設の設置予定。出典:香川県農政水産部

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