東京の交通を変えるか小型電気自動車、トヨタとタイムズが協力電気自動車

トヨタ自動車は「タイムズ」を展開するパーク24と共同で、1人乗りの電気自動車を利用した実証実験を2015年4月から開始する。個人が使う乗り物と公共交通機関を連携し、交通渋滞の緩和や大気汚染の解消を狙う。東京都心部を主な対象とした。

» 2015年02月27日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 トヨタ自動車とパーク24は、1人乗りの小型電気自動車「TOYOTA i-ROAD(i-ROAD)」(図1)を5台利用した実証実験「Times Car PLUS TOYOTA i-ROAD Drive」を2015年4月10日から同9月末まで東京都心部で進める。

図1 1人乗り電気自動車「i-ROAD」の外観(正面) 出典:トヨタ自動車

 パーク24が展開する「タイムズカープラス」の法人会員や同社の「TCPプログラム」*1)のステージ2以上の個人会員が対象。タイムズステーション有楽町イトシア(千代田区有楽町)でi-ROADを貸し出し、最大2時間30分走行できる。利用料金は15分ごとに412円(税込)。有楽町を含む都内の5カ所に設けた指定場所で返却する。いわゆるワンウェイ型のサービスだ。

*1) TCP(タイムズカープラス)プログラムでは、ユーザーの利用方法によって、ポイントがたまり、ステージ1から2、さらに3へと段階を踏んでサービス内容が豊かになる。給油量や月間請求金額が多いとポイントが増える。さらに、急加速や急減速をしないエコドライブ運転を心掛けることでも増える。逆に利用中の予約延長によって次の利用者に迷惑を掛けるとポイントが減る。

都内で1人乗り電気自動車を使う理由

 トヨタ自動車は2012年10月から愛知県豊田市周辺で実証運用「Ha:mo」を進めている*2)。Ha:moの目的は、個人が使う乗り物と公共交通機関を連携し、交通渋滞の緩和や大気汚染の解消を狙うというもの。豊田市周辺では主要駅や公共施設にステーションを設け、駅から施設への移動手段を提供している。

 東京は公共交通機関が発達しているものの、公共施設へ移動する動線が完成しているとはいえない。そこで、Ha:mo(Ha:mo RIDE)の一部を試験的に導入し、利用者のニーズを探る。Ha:mo RIDEでは4種類の「パーソナルモビリティ」を採用しており、都内ではそのうち、i-ROADを使う。都心部でも使いやすいのか、利用者の行動パターンがどのように変わるのかを調べる。

 i-ROADの返却場所(行き先)として図2に示したような5カ所を選んだ。タイムズ駒形第2ステーション(2、台東区駒形)とタイムズ東京ドームホテルステーション(3、文京区後楽)、タイムズ東京タワーサイド第2ステーション(4、港区芝公園)、タイムズパレットタウンパーキングステーション(5、江東区青海)である。

*2) 経済産業省「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に採択を受けた「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」の一環として実証運用を開始したもの。

図2 貸出場所(1)と返却場所(1〜5)の分布 出典:ゼンリン(Z14LA第256号)

都市内の利用に向くi-ROAD

 i-ROADはリチウムイオン蓄電池を利用して走行する電気自動車だ。最高速度は時速60km。時速30kmで定速走行した場合、1充電当たり最大50km走行できる。都市内の移動などに向く。

 全長2345mm、全幅870mm、全高1455mmで、空車重量は300kg。必要な駐車スペースが少なくて済む。都市内で利用した場合、問題になりにくいだろう。

 車体の特徴は3輪であること。前輪が2輪、後輪が1輪。特徴的なのはカーブを曲がるときに車体が傾く「アクティブリーン機構」を取り入れたことだ(図3)。乗員が体を傾けるのではなく、内側の車輪を後方に引き、外側の車輪を前方に出すことで、車体を自動的に傾ける。判断の材料は車速やステアリング入力量だ。

 この結果、最小回転半径が3.0mと小さくなった。都市内の利用に向く性質といえる。なお、直進している際、道路の凹凸で片方の車輪が乗り上げた際にもアクティブリーン機構で吸収できるという。

図3 アクティブリーン機構が動作したところ 出典:トヨタ自動車

テーマ別記事一覧

 電気自動車   都市・地域 


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.