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» 2015年03月30日 09時00分 UPDATE

スマートアグリ:静岡県磐田市でスマートアグリのモデルケースを創出へ (1/2)

富士通、オリックス、増田採種場、静岡県磐田市は、新たなスマートアグリカルチャー事業の創出に向けて協業することを発表。オープンイノベーション型農業のモデルケース創出を目指すとともに、先進技術によって実現する新たな農業の姿を模索していくという。

[三島一孝,スマートジャパン]

 日本の農業が抱えている課題は多い。農業就業人口は年々減少している他、就農者の高齢化が加速している。農林水産省の農業構造動態調査を見ると、農業就業人口は年々減少しており、2014年(概算値)では前年比94.8%となる226.6万人だとされている。さらに平均年齢は66.7歳となっている。これらの状況から、全国には耕作放棄地が増大しており、全国で40万ヘクタールの土地が放置されている状況だ(農林水産省調査、2010年)。しかし一方で、日本の農業生産物の評価は高く、味や形状、安全性などの面で品質が高く、品種のバリエーションも多い。

 これらの背景に対し、「強い農業」創出のために協業を発表したのが、富士通、オリックス、増田採種場の3社だ。3社と静岡県磐田市は2015年3月26日、静岡県磐田市でスマートアグリカルチャー事業の立ち上げを行うことを発表した。

オープンイノベーション型の農業

 従来の農業は種苗会社が農業生産者に種苗を販売し、それを農業生産者が育成し、さらに流通や食品加工業者に販売するという、個々の事業者が分断されたサイロ型のビジネスモデルとなっていた。そのため、大規模化が難しく、ビジネスモデルの硬直化が進んでいた。これに対し、スマートアグリカルチャー事業では、業種や業態を超えた一体化を目指し、地域をベースに知見を融合する形で、新たなビジネスモデルを創出することを目指す(図1)。

photo 図1:磐田スマートアグリカルチャー事業が目指すもの(クリックで拡大)※出典:富士通
photo 準備会社社長を務める富士通 イノベーションビジネス本部 本部長代理 須藤毅氏

 事業主体となる3社に加え、高度な専門性を持つ種苗会社、高い栽培技術を持つ農業生産者、マーケット感度の高い流通・食品加工会社、自治体、学術機関、農業機械・資材メーカーなどを加えて、地域を軸にオープンイノベーション型の農業を実現する方針だ。これらの事業展開のために富士通では2015年4月1日に準備会社「磐田スマートアグリカルチャー事業準備株式会社」を設立。2015年度(2016年3月期)下期の事業開始に向けて準備を進めていくという。

 富士通で農業関連ビジネスを担当し、新たに設立する準備会社の社長も務める須藤毅氏は「日本の農業は品質や味など優れた点を持っているがビジネス基盤が脆弱である企業体が多いのが課題だ。それはさまざまな面での“変化への対応力”の欠如につながっている。業種や業態を超えて『共創』を実現することで、“食”や“農”のバリューチェーン全体を見た新たなビジネスモデルを創出できる」と語る。

photo 図2:磐田スマートアグリカルチャー事業の全体イメージ(クリックで拡大)※出典:富士通
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