導入が加速する太陽電池、日本では2030年に100GWまで拡大自然エネルギー

太陽光発電協会が、太陽電池の導入に関する現状と今後の導入見込みなどを発表した。日本における累計導入量は2014年9月までに18.6GWに増加し、世界第4位に。将来的な導入量は2020年に66GW、2030年には100GWに届くと試算した。

» 2015年04月09日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 太陽光発電協会が、太陽電池の導入に関する現状と今後の導入見込みなどを発表した。2014年度の日本国内における太陽電池出荷量は10GW(ギガワット)に達する見込みで、モジュラーの総出荷量における日本企業と外国企業の割合は、2014年度第3四半期で日本企業が68%、外国企業が32%。年間を通じても7割を日本企業が占めるとみられる。

 また、日本における累計導入量は2013年末時点で12.4GWだったが、2014年9月には18.6GWと大幅に増えた。国別でみると2013年末時点でドイツが35.5GWで、世界全体の26.3%占めトップに。次いで中国が18.3GW、イタリアの17.6GWと続き、日本は第4位だ。以下は米国の12GW、スペインの5.6GWとなる(図1)

図1 2013年3月末時点における太陽電池の国別導入量 出典:太陽光発電協会(クリックで拡大)

 太陽光発電協会では、現在の設備認定量をベースに今後予想されるさまざまな対策を前提に、日本における将来の太陽電池導入量を2020年に66GW、2030年には100GWに届くと試算している。なお、太陽エネルギーが占める電力比率は2013年時点でイタリアが7.6%と最も高く、ドイツは約6.4%で2位。ブルガリア、ベルギー、スペインが3%を超えており、日本は1.4%で9位となっている。

図2 太陽光発電協会が試算した日本における2030年までの太陽電池導入量の試算 出典:太陽光発電協会(クリックで拡大)

太陽光発電比率の拡大から得られる5つのベネフィット

 現状をエネルギーミックスへの対策の観点からみると、太陽光の比率を拡大するベネフィットは、以下の5つが挙げられる。

  1. 海外に依存しない国産電力・エネルギーの確保による、エネルギー自給率の拡大や、国民の暮らしを守るエネルギー・セキュリティへの貢献
  2. 温室効果ガス排出削減による地球環境保護への貢献
  3. 産業・市場創出拡大による国内経済活性化への貢献(約3兆円市場の90%以上が国内へ還流、地方創生・地方活性化の重要な起爆剤に)
  4. 電力システム・EMSを含めた技術革新への機会
  5. 20年後のほぼゼロ・コスト・エネルギー創出

 今後、太陽光発電の導入を促進するための課題としては、高度で効率的な出力制御技術による需要最適化が必要であり、スマートEMS(エネルギーマネジメントシステム)の進化がカギを握る。さらに広域的な地域間連携ネットワークの構築による縦横無尽なエネルギーコントロール、火力・水力などの系統電源調整能力のさらなる技術的進化と活用、蓄電池、水素などによるエネルギー貯蔵技術システムの活用、ダイナミック・プライシングなどを用いた需要の能動化などがある。

 また、コストに関しては、FIT(固定価格買い取り制度)の効果により着実にマテリアルコストは低減している中で、グリットパリティを超えるさらなるコストダウンが業界として必須としている。

年間1兆2000億円の化石燃料輸入コスト削減効果も

 太陽光発電協会では、太陽光発電の導入が増加することによる化石燃料輸入のコスト削減効果の試算も行った。累計導入容量が66GWとなれば、太陽光総発電量は7万4000GWhとなり、国内総発電量に占める割合は8.1%に拡大する。これによる化石燃料輸入コストは石油火力代替ケースで年間1兆2000億円の削減効果があるという。さらにこれらの数字は、累計導入容量が100GWに増えれば、それぞれ11万2400GWh、12.2%、1兆8200億円に拡大すると試算している。

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