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» 2015年05月18日 15時00分 UPDATE

省エネ機器:データセンターに省エネが求められる理由

シュナイダーエレクトリックは2015年5月15日、2015年の事業戦略について説明するとともに、データセンターに求められる技術動向について紹介した。

[三島一孝,スマートジャパン]

 シュナイダーエレクトリックは電力関係の機器やソリューションを提供する企業で、データセンターのラックの開発・販売や施工、UPS(無停電電源装置)の開発・販売などを行っている。

photo シュナイダーエレクトリック 代表取締役副社長 IT事業部バイスプレジデントの松崎耕介氏

 国内のデータセンターの状況について、同社代表取締役副社長 IT事業部バイスプレジデントの松崎耕介氏は「データセンターは電力コストの上昇と老朽化の問題を抱えており、これらに適合したソリューションが必要だ」と述べる。

 2010年以前のデーターセンターにおける電力と熱の流れを見てみると、データセンター全体の消費電力の内、サーバなどのIT機器が使用している電力消費量は30%程度で、冷却機器が45%、電源などその他関連機器が25%の電力消費量となったという(図1)。これは1つの例ではあるが、2010年以前のデータセンターの電力消費量を見ていると、本来の役割であるIT機器の電力消費量は全体の3分の1以下である場合が多い。データセンターの省電力指標としてはPUE(Power Usage Effectiveness)があるが、これは「データセンターの総入力電力」を「IT負荷電力」で割った数値だ。IT機器が占める電力が30%だとすると、PUEは3.3ということになる。このPUEを1に近づけることがデータセンターの省エネ化につながることになる。

photo 図1:データセンターにおける電力・熱の流れの例(クリックで拡大)※出典:シュナイダーエレクトリック

電力料金単価上昇がデータセンターを圧迫

 最新の設備や技術、自然原理を利用した省エネ機能を取り入れることにより、最近ではPUE1台のデータセンターも増えてきているが、中小規模のデータセンターでは、PUE2.0以上のものもまだまだ多い(図2)。

photo 図2:データセンターの省エネ性能(クリックで拡大)※出典:シュナイダーエレクトリック

 一方で、東日本大震災以降電力料金単価は上昇を続けている。経済産業省の調査によると東日本大震災以降、電気料金が「31%以上上昇した」と回答した事業者が、大規模事業者では40%以上、中小規模でも20%以上となっており、データセンター事業者にとっては大きな負担だ。またデータセンターの運用費において電気料金は32%を占めている(図3)。

photo 図3:データセンターにおける電気料金の推移(クリックで拡大)※出典:シュナイダーエレクトリック

“建て直し”は進まず老朽化率も課題

 そのため、データセンターの省エネ化は事業者にとっても経営の成否を分ける大きなポイントになっている。ただ、データセンターの省エネ性能は、最新の高密度化技術や空調技術の活用などにより、新しく建設した場合は大幅に高まる場合が多いが、実際に全て新設のものに移行するのは難しい。特に、日本の環境を見た場合「さまざまな理由により、今後も築年数20年以上のデータセンターが一定の比率を占め続ける」と松崎氏は述べている。富士キメラ総研の調査によると、2014年の国内サーバルーム面積123.4平方メートルのうち、51.9平方メートルが築20年以上となっている。2019年までを見た場合でも、老朽化率は30%以上の高止まりの状態が続く見込みだ(図4)。

photo 図4:データセンターの築年数と老朽化率の推移(クリックで拡大)※出典:シュナイダーエレクトリック

既存建築を生かした提案を

 これらの流れの中でシュナイダーエレクトリックでは省エネ化推進のために既存の設備などを生かしたデータセンター省エネ化ソリューションを強化。新たに「短納期で柔軟な構築」「既存建築の活用」「DC管理運用の最適化」「プロフェッショナルサービス」の4つの方針を掲げて、各種ソリューションを展開する方針を示す。「省エネ化には新設が最も効果があるが現実的には新築できないケースも多い。これらの事業者のニーズに応えて、既存の設備などを生かしつつ、効率を高められるようなソリューションを提供していく」と松崎氏は話している。

 既に、データセンターの最適化を実現するトータルソリューションの提供や、パートナーシップによりラック内に最適なシステム構築を行いターンキーシステム(鍵を回せばすぐに使えるように設定などが不要で簡単に使えるシステム)として提供する「コンバージドインフラストラクチャ」の提供などを行っている。今後はさらに、新たにIT系パートナーだけでなく、異業種パートナーと組んだソリューション展開や、従量課金制などの新たなビジネスモデルを提供する方針だとしている。

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