2014年度の国全体の発電量のうち、水力を含む再生可能エネルギーの比率が初めて石油火力を上回った。再生可能エネルギーが前年度から1.5ポイント上昇して12.2%に拡大する一方で、石油火力は4.3ポイントも下落して10.6%に縮小した。電源構成の変化は想定以上の速さで進んでいる。
固定価格買取制度が始まって3年足らずのあいだに、再生可能エネルギーによる発電量は順調に拡大している。2014年度の国全体の発電電力量のうち再生可能エネルギーの比率が12.2%になって、ついに石油火力を超えた(図1)。3年前の2011年度と比べて1.8ポイント、前年の2013年度から1.5ポイントの上昇で、特に直近の1年間で大幅に増えたことがわかる。
再生可能エネルギーを利用する発電設備の導入量は累計で約4000万kW(キロワット)に達した。このうち固定価格買取制度による導入量は1875万kWで、全体の半数近くにのぼる(図2)。特に2014年度は2013年度と比べて38%も増加した。引き続き太陽光が95%を占めるものの、風力・地熱・中小水力・バイオマスいずれも大幅に伸びている。
2015年3月の単月では、115万kWの発電設備が運転を開始した(図3)。過去最高だった1月と2月の90万kWを大きく上回っている。新たに認定を受けた発電設備も899万kW増えた。九州などで実施した接続保留の影響を感じさせない拡大傾向が続いている。中でも注目すべきは風力が31万kW、バイオマスが50万kW増加したことだ。
それでも政府は太陽光に偏重している現状の軌道修正に乗り出す。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した発電設備の規模を種類別に見ると、太陽光だけが300%以上も伸びているのに対して、風力は6%、そのほかは1%程度の伸びにとどまっている(図4)。
太陽光発電は運転開始までの期間が短くて導入しやすい。一方で風力・地熱・バイオマスは大規模な発電設備の建設には事前に環境影響評価を実施する必要があり、運転開始までの期間が長くなって開発コストがかさむ。政府は環境影響評価の迅速化を進めているものの、今のところ十分な効果は出ていない。規制対象を緩和するなど新たな施策を検討する予定だ。
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