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» 2015年06月30日 13時00分 UPDATE

法制度・規制:「オゾン層」と「地球温暖化」、地球を守る2つの基準で進むフロン類の規制 (1/3)

フロン類の排出規制が広がりを見せている。世界的な規制強化の動きに合わせて日本でも2015年4月から「フロン排出抑制法」が施行。幅広い用途で利用されている冷媒の在り方に注目が集まっている。

[三島一孝,スマートジャパン]

 フロン類の国際的な規制が進みつつある。日本では2015年4月に「フロン排出抑制法」が施行され、対象のフロン類を使用した指定機器を所有するユーザー企業にも管理義務が生じることになった。フロン類は冷媒として安価で生産可能な生産性と、冷媒能力を持ち、多くの機器での利用が進んでいる。これらの規制がなぜ進んでいるのか、背景をまとめた。

地球を覆うオゾン層の保護

 フロン類が最初に注目を集めたのは「オゾン層の破壊を防ぐため」だ。オゾン層は、地球の成層圏(約10〜50キロメートル上空)に存在するオゾン密度の濃い大気層のこと。生物に有害である紫外線の多くを吸収する働きを持つ。これが急速に減少し、南極上空などでは、オゾン層に穴が開く「オゾンホール」などの減少が観測されるようになった。

 これらの現象が、人体への被害(視覚障害、皮膚ガンの発生率の増加など)や自然生態系に対する悪影響(穀物の収穫の減少、プランクトンの減少による魚介類の減少など)と関連性があるとされ、オゾンがなぜ減少するのかという点において注目を集めることになる。

 1970年代から注目を集めたオゾン層破壊のメカニズムだが、その原因物質としてCFC(クロロフルオロカーボン)などが特定されてきた。CFCはエアコンや冷蔵庫、スプレーなどで利用され、大気中に多く放出されてきた。フロンは地上付近では分解しにくい性質を持っているが、成層圏で強い太陽光にさらされると光触媒の効果により分解し塩素を放出する。この塩素がオゾンの酸素分子と結び付き、オゾンが分解されるという仕組みだ(図1)。

photo 図1:成層圏でのオゾン破壊の仕組み ※出典:気象庁

 冷媒関連企業では、CFCの問題が指摘され始めてから、オゾン層の破壊影響を落とす開発を進め、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)への代替は進んでいたものの、HCFCも塩素を含むためオゾン層への影響はゼロではなかった。

 そこで1985年のウィーン条約採択、1987年のモントリオール議定書採択を経て、CFC、HCFCが「特定フロン」とされ、生産・輸入の国際的な規制が開始された。CFCについては先進国で1996年、新興国では2010年にそれぞれ、全廃と規定されており、全世界での全廃が既に完了している。またHCFCについては先進国で2020年、新興国で2030年までに廃止することが計画され、徐々に使用比率を下げてきているところだ。

 規制の開始により、冷媒には、オゾン層破壊効果のない、HFC(ハイドロフルオロカーボン)が「代替フロン」として利用されるようになり、CFCやHCFCが大気中に放出される機会は減りつつある(図2)。

photo 図2:オゾン層破壊の全体像(クリックで拡大)※出典:経済産業省

オゾン層の破壊は抑制、オゾンホールも縮小へ

 この効果もあり、オゾン層の破壊は抑えられてきた。NASAの調査によるとオゾンホールは徐々に小さくなっており「2040年までには800万平方マイル以上の大きなオゾンホールは発生しなくなるだろう」という見解を示している。

 オゾン層保護への取り組みにめどが立ちつつある中、フロン規制も一段落するかと思われたが、代わりに注目を集めてきたのが、フロン類の「地球温暖化問題」だ。

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