連載
» 2015年07月06日 13時00分 UPDATE

再生可能エネルギーの普及を阻む壁(1):太陽光発電は開発期間が短い、風力は5年で地熱は10年を超える (1/3)

日本のエネルギーの未来を支える再生可能エネルギーだが、解決すべき課題は山積している。太陽光発電に偏重する現状を変えるには、風力発電などの開発期間を短縮する施策が不可欠だ。風力と地熱は環境影響評価に時間がかかる一方、中小水力は発電に利用できる流量の調査が大きな課題になる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 2030年までに再生可能エネルギーの発電量を22〜24%に引き上げることが国の目標になった(図1)。現状から2倍に増やす必要があるが、実現性は十分にある。環境省の予測では30%以上に拡大することも不可能ではない。30%を超える水準になれば、原子力に頼らなくてもCO2の排出量を目標どおりに削減できる。

kabe1_8_sj.jpg 図1 2030年のエネルギーミックスの内訳。出典:資源エネルギー庁

 ただし課題は数多くある。特に太陽光発電に偏重する状況を改善することが急務だ(図2)。太陽光発電は天候によって出力が変動するため、地域によっては大量に導入すると電力の供給状態を不安定にしてしまう可能性がある。固定価格買取制度による賦課金の増加も太陽光発電による部分が大きい。

kabe1_1_sj.jpg 図2 固定価格買取制度の前後における再生可能エネルギーの導入量(画像をクリックすると拡大)。バイオマスは燃料に占めるバイオマスの比率を反映。出典:資源エネルギー庁

 太陽光発電が急増した理由の1つは買取価格の高さにあるが、もう1つの要因は開発期間が短くて済むことだ。発電能力が1MW(メガワット)以上のメガソーラーで約1年、電力会社との接続契約などに時間がかかる2MW以上(特別高圧)の場合でも2年程度で完了する。

 これに対して風力・バイオマス・小水力は開発期間が5年前後になり、地熱に至っては10年以上に及ぶ(図3)。発電に利用できる資源量が十分に存在することを事前に調査する必要があるほか、大規模な発電設備を建設する場合には環境影響評価の手続きに3年以上の期間が必要になるためだ。

kabe1_2_sj.jpg 図3 再生可能エネルギーによる発電設備の開発期間と主なプロセス(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 政府は環境影響評価の手続きを簡素化して期間を短縮する方針だが、今のところ具体的な対策は打ち出せていない。加えて騒音や排気ガスを出さない太陽光発電に比べると、風力・バイオマス・水力・地熱のいずれも地域住民の理解を得るために時間と手間がかかる。その点では自治体の支援も欠かせない。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.