自然災害の影響などをCO2換算し5000万トン相当のCO2排出量削減を目指すNEC省エネ機器(1/2 ページ)

NECは2015年7月14日、環境への取り組みの成果について発表。新たに早稲田環境研究所と共同で気候変動に伴う影響への「適応」に貢献した価値を定量的に評価する手法を開発した。

» 2015年07月15日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 NECでは、地球温暖化による気候変動抑制に向けた取り組みに対し、局所的な二酸化炭素(CO2)削減だけでなく、より広い範囲での削減に取り組んできた。2013年7月には、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を報告する国際基準「Scope3 スタンダード」(以下Scope3)に対応。同社グループにおける製品の製造から販売、ユーザーの使用期間における全ての領域でのCO2排出量を試算し、サプライチェーン全体のCO2排出量削減に向けた取り組みを進めている。

CO2の96%がサプライチェーンの中で生まれる

 2015年3月期(2014年度)のNECのサプライチェーン全体におけるCO2の排出量は950万トンとなり、756万トンだった2014年3月期(2013年度)に比べて、大きく増加した。パソリンクやモバイルインフラ製品などの出荷台数の増加が、CO2排出量増加の要因だ。950万トンの内、自社の直接排出である「Scope1」は1%、電力利用などの間接排出である「Scope2」が3%を占め、残りの96%が製品のサプライチェーンの中で生み出されたという(図1)。

photo 図1:2014年度のNECのサプライチェーンCO2排出量実績(クリックで拡大)※出典:NEC

 これらの事業活動によるCO2の環境負荷に対し、NECでは同社が創出する「気候変動に対する社会価値」をCO2に換算し、2020年までに、サプライチェーンCO2排出量に対し社会価値を5倍とする目標を掲げている(図2)。

photo 図2:気候変動に対するNECの目標(クリックで拡大)※出典:NEC

 この「気候変動に対する社会価値」は、大きく分けて2つの内容を含む。1つは同社の製品や「CO2排出量の削減(緩和)」だ。これについては、同社の製品やサービスなどITソリューションを通じた社会全体のCO2削減で実現する。省エネ製品の提供や、省エネ化を実現するICTソリューションの導入だ。これにより2017年度までにCO2排出量1500万トン、2020年度までに2000万トンの削減を目指す(図3)。製品のエネルギー効率改善についても2005年度比で製品の平均消費電力量を2017年度までに80%削減する目標に取り組む。

photo 図3:ITソリューションの提供を通じた社会全体のCO2削減(クリックで拡大)※出典:NEC

 一方、2つ目の社会価値となるのが「気候変動への備え(適応)」である。

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