まるで巨大な“羽根のない扇風機”、水と風で発電するビルがオランダで計画 : 自然エネルギー (2/2 ページ)
Dutch Windwheelでは、再生可能エネルギーなどの実現に向けたショーケースや実証の場としても活用を進めていく計画だ。
図4 Dutch Windwheelで採用される再生可能エネルギーの概要 出典:Dutch Windwheel
既にDutch Windwheelでの活用に向けて開発が進められている革新的な発電技術の1つが、「EWICON(Electrostatic WInd energy CONverter、静的な風力発電変換機)」技術である。EWICONは、デルフト工科大学とワーゲニンゲン大学を含むコンソーシアムによって開発された。同技術は、水と風を使って、回転翼など駆動部などなしに発電できることが特徴だ。
図5 内部の空洞に向けて水滴を発生させ、空洞を通る風との組み合わせで発電を実現 出典:Dutch Windwheel
仕組みは次のようなものだ。まずプラスに帯電した水を空気中に放出する。プラスに帯電した粒子は本来的には陰極側へ移動する。しかし、風により陰極側への移動が妨げられ、むしろ離される動きが発生する。そうすると、電気的な位置エネルギーが増える。この増加した電気を集めることで発電するという形だ。既に小型のものは実証実験で成果が得られているという。
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EWICONの原理 出典:デルフト工科大学
この先進的な風力発電機構は、発電に機械の可動部が不要となるため、機械の摩耗が少なく、メンテナンスコストや騒音、移動影の影響なども低減することができるという利点を持つ。
同建築プロジェクトはまだ計画段階で、今後どういう形で実現に進めていくのは明確になっていない状況だが、実現すれば画期的な施設となるだけに多くの期待が集まっている。
羽根のない風力発電機が2016年に市場へ、細長い円筒が揺れて電力を起こす
ユニークな風力発電機の開発がスペインの会社で進んでいる。野球のバットのような形で、風車は使わない。地上に立てると、風が巻き起こす渦に共鳴して揺れ続け、その動きを電力に変える。騒音がなく、鳥の衝突も防げる。最初の製品は高さが12メートル、発電能力は4kWを予定している。
風力発電は全世界で太陽光発電の2倍、途上国にも急速に広がる
日本では伸び悩んでいる風力発電だが、世界では太陽光発電よりも増えている。2014年には5000万kWを超える設備が運転を開始した。約半分は中国で、累計の容量でも圧倒的にトップだ。2位の米国と3位のドイツも導入量を伸ばす一方、アジアを中心に途上国の風力発電が活発になってきた。
超大型の洋上風力が福島沖へ、直径167メートルの風車で12月に発電開始
福島県の沖合20キロメートルの洋上に、浮体式で世界最大の風力発電設備が12月に運転を開始する見通しになった。直径が167メートルある超大型の風車を搭載して、発電能力は1基で7MWに達する。組立作業を完了した小名浜港から現地へ向けて、来週6月30日に曳航作業を開始する予定だ。
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