4〜6月は14%減、成長限界が見える国内太陽電池太陽光

太陽光発電協会は、2015年度第1四半期(2015年4〜6月)の太陽電池の出荷について調査し、その内容を発表した。同期の出荷量は2012年度第2四半期(2012年7〜9月)以来の前年同期比割れとなった。

» 2015年09月03日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 太陽光発電協会では四半期ごとに太陽電池の出荷統計を発表しているが、2015年度第1四半期の太陽電池モジュールの総出荷量は1737万7578kW(キロワット)となり前年同期比13%減となった。またセルの総出荷量は732万2133kWでこちらも前年同期比12%減となっている(図1)。

photo 図1 2015年度第1四半期の太陽電池の出荷動向(クリックで拡大)出典:太陽光発電協会

 モジュールの用途別国内出荷量を見ても、住宅向けが前年同期比17%減の41万1970kW、非住宅向けが同14%減の119万9844kWで前年同期比1割以上の減少となっている。合計でも同14%減の161万2139kWとなり、2012年度第2四半期(2012年7〜9月)以来の前年同期比割れとなった(図2)。

photo 図2 2015年度第1四半期のモジュールの用途別国内出荷量(クリックで拡大)出典:太陽光発電協会

 2014年度(2014年4月〜2015年3月)の太陽電池モジュールの出荷は前年度比14%増となっていたが、2013年度(2013年4月〜2014年3月)の成長率が2.2倍となっていたことを考えれば伸び率は大きく縮んでおり、成長のピークを超えた状況が見える。

減収減益傾向の国内太陽電池メーカー

 実際に2014年度の太陽電池メーカー各社の決算を見ても、各社が苦戦している様子がうかがえる。太陽電池パネルメーカーは案件数そのものはあるものの、競争激化による販売価格下落が進んでおり、各社とも減収減益傾向(関連記事)。値崩れの影響を受けにくいパワーコンディショナー関連メーカーは高収益となっているが、今後は「FIT(固定買取制度)目当てでとにかく設置」というビジネスモデルは通用しなくなってきている。

 国内では太陽電池の設置の案件数はまだあるものの、メガソーラーなど大規模な最適用地は減ってきており、現在はゴルフ場など大規模遊休地の転用などで普及を拡大している状況。今後はさらにこれらの候補地も減ってくることから、住宅用など屋根需要を除けば、水上設置など従来設置できなかったエリアへの設置などに進むことが想定されている。太陽電池メーカーや架台メーカーにとっても「従来の不適地を最適地に変える」提案が求められているといえる。

 一方、買い取り価格低下によって注目を集めているのが、「O&M(運用・保守)」である。太陽光発電施設の新設による売電量拡大が見込めなくなる中、既存施設をどう効率的に運用していくかという視点で、発電量を伸ばしていくことが重要になる。IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やクラウドサービスなどを組み合わせた多彩なサービスの登場など、新たな技術活用も進んでおり、今後の成長が期待されている(関連記事)。

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