テスラが狙う電気自動車の“価格破壊”、新型EVは「モデルS」の半額に電気自動車

米国のEVベンチャーであるTesla Motors(テスラモーターズ)は新型EV「モデル3」を2016年3月に発表し、それと同時に先行予約を開始することを明らかにした。価格は同社の高級EVセダン「モデルS」の半額以下となる3万5000米ドルから。

» 2015年09月04日 16時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 米国のEV(電気自動車)ベンチャーであるTesla Motors(テスラモーターズ、以下テスラ)はこのほど、新型EV「モデル3」を2016年3月に発表し、それと同時に先行予約を開始することを明らかにした。これはテスラの創業者でCEOのイーロン・マスク(Elon Musk)氏が2015年9月2日(米国時間)にTwitterで公表したもの(図1)。

図1 イーロン・マスク氏のTwitterへの投稿(クリックで投降へ)

 テスラのEVといえば「モデルS」が知られている。高級セダンの位置付けとなるモデルSの価格は米国での販売価格は7万6070米ドル、日本国内では約800万円からだ。モデル3はより小型かつ低価格なセダンになる予定で、マスク氏は米国での販売価格がモデルSの半額以下となる3万5000米ドル(日本円で約420万円)になることも明らかにしている。

 同時にマスク氏はTwitterで、モデル3の量産には同社が米国ネバダ州に建設中のリチウムイオン電池工場「Gigafactory(ギガファクトリー)」(図2)の「フル稼働が必要になる」(同氏)と述べている。ギガファクトリーの稼働開始は2017年を予定しており、フル稼働に入るのは2020年だ。このことからモデル3がユーザーのもとに届くのはどんなに早くとも2017年以降になるとみられる。

図2 ギガファクトリーの外観イメージ 出典:Tesla Motors

 EVの価格低減には、搭載するリチウムイオン電池のコストをいかに下げるかが大きな課題となる。ギガファクトリーは、2013年における世界全体のリチウムイオン電池セルの生産規模を上回る年間35GWh(ギガワット時)という膨大な生産規模の実現を予定している。モデル3の価格を実現するには、ギガファクトリーがフル稼働し、“規模の経済”の効果でリチウムイオン電池の生産コスト/価格を下げる必要があるということだろう。

 テスラは2015年夏から蓄電池市場に参入することも発表している(関連記事)。この同社の蓄電池領域におけるビジネスの鍵を握っているのもギガファクトリーのフル稼働による、リチウムイオン電池のコスト競争力の確保だ。なお、ギガファクトリーの建設にはパナソニックも参画している(関連記事)。

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