北の大地で“水素の循環”を実現か、戦略ビジョンに意見を公募電力供給サービス(1/2 ページ)

水素サプライチェーンの製造地の1つとして期待されている北海道では「北海道水素社会実現戦略ビジョン(素案)」を策定し、2015年10月5日〜11月4日にかけて意見公募を行っている。

» 2015年10月20日 15時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 水素社会実現に向けて日本政府などの取り組みが広がる中、水素サプライチェーンの供給源の1つとして期待されているのが北海道だ。北海道は、風力や地熱、バイオマスなど豊富な再生可能エネルギー源を保有している他、畜圧機や有機ハイドライド、水素貯蔵合金など、水素関連技術の集積地なども抱えている(関連記事)。

 これらの背景を生かし、水素社会形成に向けた取り組みを実現するため、2015年3月に「北海道水素イノベーション推進協議会」を設置。産官学で連携して水素社会実現に向けた課題などを解決する取り組みを進める。同年7月30日には「北海道水素社会実現戦略ビジョン」の骨子案がまとめられた(関連記事)(図1)。2015年10月5日から意見公募が始まったのはこの骨子案をさらに練り上げた素案である。

図1 北海道における水素社会形成に向けた全体イメージ 出典:北海道 図1 北海道における水素社会形成に向けた全体イメージ 出典:北海道

北海道水素社会実現戦略ビジョンの3つの柱

 北海道水素社会実現戦略ビジョンは「低炭素で安心安全な地域づくり」「水素サプライチェーンの構築」「環境産業の育成・振興」を3つの柱としている。

 低炭素化に向けては、エネルギー効率の高いエネファームや利用段階で二酸化炭素を排出しないFCVなどの普及を促進するとともに製造段階においてもCO2を排出しない再生可能エネルギー、バイオマス資源を活用した水素製造などに取り組む。また、水素の地産池消など災害に強い安全・安心な地域づくりを目指す。

 水素サプライチェーンの構築に向けては、道内の豊富な再生可能エネルギー源を活用してCO2発生を抑制した水素製造の実現を目指すとともに、地域特性に応じた水素エネルギーの利活用などの仕組みを整え、事業成立性の高い道内での水素サプライチェーンを構築する。これらの取り組みに加え、寒冷地という特性を生かした研究開発や実証実験を行うことで、水素関連技術の産業創出や関連産業の振興につなげていく方針だ。

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