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» 2015年11月10日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2015年版(30)和歌山:関西に流れる電力を風力発電で増やす、騒音対策が農山村の課題 (1/3)

風況に恵まれた和歌山県の丘陵地帯には大型の風車が数多く立ち並ぶ。関西電力や大阪ガスも風力発電所を展開して再生可能エネルギーの供給量を拡大中だ。風車が発する騒音に悩まされる住民もいることから、適切な対策が欠かせない。環境負荷の低い太陽光発電を導入する動きも広がってきた。

[石田雅也,スマートジャパン]

 和歌山県で風力発電所が集中している場所は、西側に海をはさんで四国と対面する沿岸部の丘陵地帯にある。年間を通して平均5メートル/秒を超える風が海から吹きつける風況に恵まれた地域だ。その中で最も新しい風力発電所は、1年前の2014年11月に運転を開始した「広川・日高川(ひろがわ・ひだかがわ)ウィンドファーム」である(図1)。

hirogawa_hidaka.jpg 図1 「広川・日高川ウィンドファーム」の所在地と全景。出典:エコ・パワー

 風力発電所が数多く立地する広川町から隣の日高川町に連なる山脈の尾根に沿って、10基の大型風車が並んでいる。1基の発電能力は2MW(メガワット)で、最大20MWの電力を供給することができる。年間の発電量は3500万kWh(キロワット時)に達する。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万世帯分に近い電力になる。

 運営するのは全国に20カ所以上の風力発電所を展開しているエコ・パワーである。エコ・パワーは日本初の風力発電専門会社で、関西電力を含む18社の有力企業が出資している。和歌山県内では広川・日高川ウィンドファームが初めてのプロジェクトだ。

 広川町では2005年に町営の風力発電所が稼働して以降、民間の発電事業者による大規模な風力発電所が相次いで運転を開始した。2008年には関西電力グループの「白馬ウインドファーム」(発電能力30MW)と大阪ガスグループの「広川明神山風力発電所」(16MW)が同時期に稼働している(図2)。

hirogawa_wind.jpg 図2 「広川明神山風力発電所」の全景。出典:大阪ガス

 運転中の4カ所を合わせると、風車の数は47基になり、発電能力は67.5MWに達する。年間の発電量は3万世帯分を上回る規模になった。広川町と日高川町を加えた総世帯数(6900世帯)の4倍以上に匹敵する。

 広川明神山風力発電所には太陽光発電設備もある。16基の大型風車のうち1基の周辺に広がる1万平方メートルの敷地を利用して、0.8MWの太陽光発電所を併設した(図3)。年間の発電量は81万kWhで風力と比べると少ないが、晴天で風が穏やかな日には代替の電力源になる。

hirogawa_solar.jpg 図3 「広川明神山太陽光発電所」の全景。出典:NTTファシリティーズ
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