またも石炭火力発電に環境省が反対、関西電力グループが計画する2カ所法制度・規制(1/2 ページ)

石炭火力発電所の新設に関して政府内の足並みがそろわず、事業者の計画に影響が及んでいる。環境省はCO2削減に対する電力業界の取り組みが不十分であることを理由に、秋田県と千葉県で始まった建設計画を「是認できない」と判断した。同様の問題は愛知県と山口県でも起こっている。

» 2015年11月17日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 政府が2030年のCO2(二酸化炭素)排出量の目標を決定した7月以降、石炭火力発電所の新設計画が進みにくくなっている。発電能力が15万kW(キロワット)以上の火力発電所を建設するためには、事前に4段階にわたる環境影響評価の手続きを完了させる必要がある(図1)。その最初の「配慮書」の段階で、環境省が「是認できない」と反対意見を表明し続けている。

図1 環境影響評価の手続きの流れ(画像をクリックすると拡大して手続きの全体を表示)。出典:環境省

 新たに11月13日にも環境省は2件の石炭火力発電所の建設計画に対して同様の問題点を指摘する意見書を出した。いずれも関西電力グループの関電エネルギーソリューション(略称:Kenes)が提携パートナーと共同で推進するプロジェクトである。

 1つは東京湾岸にある東燃ゼネラル石油の製油所に建設する石炭火力発電所で、Kenesと東燃ゼネラル石油が共同で2024年の運転開始を目指している(図2)。発電能力は100万kWを予定していて、東京電力に電力を供給することも決まっている。

図2 石炭火力発電所を建設する予定の「東燃ゼネラル石油千葉工場」の全景。出典:東燃ゼネラル石油

 もう1つのプロジェクトは日本海に面した秋田港の埋立地でKenesと丸紅が計画中の石炭火力発電所である(図3)。同様に2024年に運転を開始する予定で、発電能力は130万kWに達する。発電した電力の用途は明らかになっていないが、東北電力に供給するか、関西電力グループと丸紅グループが東北の電力小売事業に利用するか、どちらかになる見込みだ。

図3 「秋田港発電所(仮称)」の建設予定地。出典:関電エネルギーソリューション、丸紅
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