衛星画像から太陽光発電量を予測できる新技術、3分刻みで最大3時間半後まで太陽光

関西電力は衛星画像を利用して雲の動きから日射量を推測し、太陽光発電設備の発電量を予測できる新システム「アポロン」を開発した。従来の日射計のデータを活用する場合と比較して、より高精度に発電量を予測できるという。

» 2015年11月18日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 電力は電力需要と供給量を常に一致させる同時同量が原則だ。このバランスが崩れると周波数が大きく変動してしまい、機器の動作不良や大規模な停電の発生など、さまざまな被害につながる可能性がある。

 一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電設備は、自然環境によって発電量が大きく変動してしまう。近年こうした再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、同時同量の原則を維持するために発電量を高精度に予測する技術開発も進んでいる。その1つとして、関西電力は太陽光発電設備の発電量を衛星画像を利用して予測できる新システム「アポロン」を開発した。

 これまで関西電力では同社管轄内にある太陽光発電設備の発電量予測に、気象庁が提供している日射計のデータを活用していた。しかし観測点は全てのエリアをカバーしているわけではなく、日射計が無いエリアでは推測値を利用することになる。そのため誤差が大きく、太陽光発電設備が今後さらに普及した場合の需給制御に懸念があった。

 そこで今回開発したアポロンでは、気象庁が提供する衛星画像に注目した。まず気象衛星の画像から1平方キロメートルごとに雲の種類と状況を分析する。次に高度別の風のデータを使って雲を動きを推測し、これを基に日射量の変動を予測する仕組みだ(図1)。

図1 関西電力が開発した新システムの概要 出典:関西電力

 観測点に頼らないアポロンでは、3分刻みで最大3時間半後までの太陽光の発電量の変化を予測することができるようになったという。関西電力ではこのアポロンを安定的な需給制御への貢献が期待できるとして、2016年3月をめどに中央給電指令所に導入する計画だ。なお、日射計のデータを使わずに発電量を把握するシステムの導入は、電力会社では日本初の試みになるとしている。

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