石を使う蓄熱技術でイチゴ栽培を省エネに、フィルム型太陽光も設置スマートアグリ(1/2 ページ)

山口県はイチゴなどの施設園芸作物の生産コスト削減を目的に、太陽光による独立電源システムと省エネルギー暖房技術を組み合わせた実証栽培設備を設置。化石燃料を使用せずに暖房コストを大幅に削減する新たな施設園芸モデルの検証を開始した。

» 2015年12月10日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 イチゴなどのハウス栽培を行う場合、燃料価格が高騰すると暖房費などのエネルギーコストが大きくなってしまい、生産者は大きな負担を強いられる。暖房設備に化石燃料することによるCO2の排出も課題だ。

 山口県はこれらの課題や施設園芸作物の生産コスト削減を目的に、太陽光発電による独立電源システムと、イチゴ栽培の省エネルギー暖房技術を組み合わせ、化石燃料を使用せずに暖房コストを大幅に削減する新たな施設園芸モデルの検証を開始する。実証を行うのは山口市にある山口県農林総合技術センターで、実証期間は2015年12月か2016年3月まで。

フィルム型太陽光と蓄電池、省エネ暖房技術を活用

 太陽光パネルはフィルム型のものを採用し、イチゴを栽培するビニルハウスの上部に設置した。発電出力は1.62kW(キロワット)で、これに容量450Ah(アンペア時)の蓄電池を組み合わせて独立電源システムを構築する(図1・2)。

図1 太陽光パネルを設置したビニルハウス/図2 蓄電池システム 出典:山口県

 この栽培システムの内部に農林総合技術センターが開発したイチゴ栽培向けの省エネルギー暖房技術を活用する。利用するのは主に2つのシステムで、1つがイチゴの株元(クラウン)を直接加温できるテープヒーターだ(図2)。イチゴの温度感応部位である株元を直接加温することで、成長促進のために栽培施設内を暖房機などであたためるより、省エネルギー化を図れる仕組みだ。

図2 テープヒーターの概要 出典:山口県
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