農林水産省によると、全国の山林に残された間伐材などの総量は2000万立方メートルにものぼり、そのほとんどが未利用の状態にある(図3)。さらに製材工場や建築現場で発生する端材なども一部は未利用のままだ。農林水産省は2010年12月に「バイオマス活用推進基本計画」を策定して、間伐材の利用率を2020年までに30%に引き上げる目標を掲げて対策を進めている。
グリーン・サーマルが展開する木質バイオマス発電の事業モデルは、間伐材を中心に建築材などもリサイクルで調達する(図4)。間伐材から作った木質チップを発電用の燃料に使いながら、建築材などのリサイクル木材は発電の前にチップを乾燥させる燃料として利用する場合が多い。
このモデルを実施した最初のプロジェクトは、福島県の会津若松市で2012年7月に運転を開始した「グリーン発電会津」の木質バイオマス発電である(図5)。続いて大分県の日田市でも2013年11月に「グリーン発電大分」が同様の木質バイオマス発電を開始している。2カ所とも発電能力は5.7MWである。米沢市に新設する発電所は3番目のプロジェクトになり、発電能力は既設の2カ所を1割ほど上回る。
山形県内では北西部の庄内地域で住友商事グループが50MWの大規模な木質バイオマス発電所を酒田市に建設する計画を進めている。このほかに北東部の最上地域では木質バイオマスからガスを精製して発電する設備が建設中だ。中部の村山地域でも地元の企業が中心になって木質バイオマス発電所を建設する計画が始まった。
それぞれ2016年後半から2018年前半にかけて運転を開始する予定になっている。置賜地域の米沢市で木質バイオマス発電所の建設プロジェクトが動き出したことで、県内の4地域すべてで間伐材を利用したバイオマス発電を実施する体制になる。
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