小売電気事業者が地域で連携、営業力と供給力を補完して全面自由化へ電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2016年01月25日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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複数の事業者をバランシンググループに

 伊藤忠エネクスは全国規模で電力やLP(液化石油)ガスを販売する一方、グループ会社のJENが火力発電所や風力発電所を6カ所で運営している(図3)。中国地方では発電能力が80MW(メガワット)の石炭火力発電所を山口県で運転中だ。

図3 伊藤忠エネクスの電源構成(2015年4月時点、画像をクリックすると拡大)。出典:伊藤忠エネクス

 さらに電力事業を拡大する戦略の一環で、異業種から参入する小売電気事業者を対象に「バランシンググループ(BG)」のサービスを展開していく(図4)。バランシンググループは複数の発電事業者や小売電気事業者を1つのグループにまとめて、全体で需要と供給のバランスをとる方法である。とっとり市民電力に対してもバランシンググループのサービスを提供する。

図4 小売全面自由化に向けたバランシンググループ戦略。出典:伊藤忠エネクス

 小売電気事業者は顧客の需要に見合った電力を送配電ネットワークに供給し続ける義務がある。2016年4月の小売全面自由化後は「計画値同時同量」の制度が始まり、各事業者は30分単位で計画した需要と供給を合致させる必要がある。電力の供給が計画値よりも足りない場合には、送配電ネットワークを運営する電力会社が補充する代わりに、通常の電気料金よりも高い「インバランス料金」を事業者に請求することになっている。

 インバランス料金が頻繁に発生すると、事業者の採算性は悪化してしまう。特に事業規模が小さい小売電気事業者にとっては、単独で計画値同時同量を確保することは簡単ではない。伊藤忠エネクスが提供するバランシンググループのサービスは、同社がグループの代表者になって計画値同時同量に責任をもつ。今後も大手の事業者が地域特化型の事業者をバランシンググループに取り込む動きは広がりそうだ。

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