電動アシスト自転車が分散電源に、「常時フル充電」を実現するサイクルシェアスマートシティ(1/2 ページ)

パナソニック、NTTドコモ、ドコモ・バイクシェアの3社は2016年4月から、東京都臨海地区で電動アシスト自転車のシェアリング実証を開始する。自転車本体だけでなく、バッテリーをシェアできるようにするのが特徴だ。災害時などにはこのバッテリーを予備電源として使えるようにするなど、将来に向けシェアリングサービスの社会インフラとしての活用も検討していくという。

» 2016年02月09日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 パナソニックは2016年2月4日、同年2月5〜10日までの平日に「パナソニックセンター東京」(東京都江東区)で開催する「Wonder Japan Solutions」の展示内容を報道関係者に公開した。同イベントはパナソニックが「東京オリンピック/パラリンピック」が開催される2020年に向けて開発を進めている新技術やソリューションを披露する展示会だ。

 パナソニックはこの展示の中で、2016年4月からNTTドコモ、ドコモ・バイクシェアと共同で実施する電動アシスト自転車のシェアリングサービスの概要を展示した。自転車のバッテリーそのものをシェアできるようにするというユニークな実証だ(図1)。

図1 実証実験の概要 出典:パナソニック、ドコモ(クリックで拡大)

バッテリー本体をシェアリング、“充電切れ”の不安を解消

 3社が取り組む実証実験は、2016年4月1日〜9月30日の間、東京都臨海地区(晴海、月島、豊洲)で行われる。日本全国でこうした電動アシスト自転車を活用したシェアリングサービスの実証が始まっているが、使用状況に応じた複数のレンタル拠点間における自転車の再配置作業や、バッテリーの充電残量をいかにマネジメントするかなどが課題となっている。ユーザーの利便性を向上することが、実際の利用につながるからだ。

 今回の実証はこうした課題の解決に向けた内容となっているのが特徴だ。その1つとして電動アシスト自転車のバッテリーそのものをシェアできるサービスを展開していく。コンビニなどの店舗やサイクルポートに予備バッテリーを常時充電しておける設備を分散設置し、バッテリー残量が少なくなった場合にはこの充電済みのスペアバッテリーと交換できる仕組みを構築する(図2)。

図2 実証で使用する予備バッテリーの充電装置。バッテリーに搭載しているICタグでシェアリング用のバッテリーかどうかを認証する。装置にシェアリングサービスの利用時に登録したカードをかざすことでロックの解除などが行える仕組みだ(クリックで拡大)

 結果的にサービスの利用者同士で、バッテリーをシェアするかたちになり、“バッテリー切れ”の不安軽減にもつながる。充電装置を設置する店舗側には、バッテリーをきっかけにしたら来店客が見込めるメリットがあるという。実証では利用者の動向を分析し、技術的課題の発見や事業ノウハウの蓄積などを進めていく。

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