「ロードスター」サイズの小型燃料電池車、英国ベンチャーが開発電気自動車

英国のベンチャー企業であるRiversimpleは、2シーターの小型燃料電池車「Rasa」の最初のプロトタイプを完成させたと発表した。2018年に市場投入を目指すとしている。

» 2016年02月22日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 Riversimpleは、英国の自動車ベンチャーで持続可能な自動車の開発を進めてきた。その中で水素燃料電池を活用した自動車の設計を白紙の状態から行い、今回プロトタイプの開発に成功したという。燃料電池車の名前は「Rasa」としているが、これは紙の白紙に由来するとしている(図1)。

photo 図1 プロトタイプとして開発された燃料電池車「Rasa」 出典:Riversimple

 この最初のプロトタイプは2シーターで燃料電池によって供給される電気で動く自動車である。時速60マイル(96キロメートル)以上の速度を記録したとし、ロンドンの込み合った道路を縫うように進むことや、ウェールズのポーイスにある田舎道を飛ばすことなども問題なく行えたとしている。

 「Rasa」のシャーシは、軽量でありながら硬い炭素繊維複合材でできており、モノコックの重さは40キログラム以下に抑えているという(図2)。また、自動車の総重量についても580キログラムとしており、軽量化に成功している。

photo 図2 「Rasa」の構造図 出典:Riversimple

 軽量化を実現するために、先述した炭素繊維複合材の他、さまざまな技術を開発したことが特徴だ。動力は、タイヤに埋め込んだ4つのインホイールモーター方式を採用した他、ブレーキ時に50%の運動エネルギーを回生エネルギーとして取り込むことが可能だ。また加速するためのエネルギーを蓄積するためにスーパーキャパシタなども活用した。水素燃料電池には8.5kW(キロワット)の低電力のものを採用する。同社では「これは重い電池を自動車に搭載するよりも何倍も優れたエネルギー効率性と航続距離を実現する」と述べている。「Rasa」のプロトタイプの航続距離は300マイル(約483キロメートル)であり、同社では「Rasa」に自動車内での電力供給をネットワーク化していることが、効率性の要因だとも述べている。

 同社では資金調達により2016年後半には20台の試作車を製作する計画だとしている。これらを通じて2018年には市場投入を目指す方針だ。

photo 図3 「Rasa」の内装 出典:Riversimple

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