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» 2016年04月05日 13時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(58):「ネガワット取引」が2017年4月に始まる、節電した電力を100kW単位で (1/2)

小売全面自由化に続く電力システム改革の取り組みとして、需要家が節電した電力量(ネガワット)を小売電気事業者や送配電事業者が需給調整に利用できるようになる。政府はネガワットを取引するためのルールやガイドラインを整備して、ガスの小売全面自由化と同時に2017年4月に開始する。

[石田雅也,スマートジャパン]

第57回:「いよいよ始まった電力の小売全面自由化 300社が料金とサービスを競う」

 これまでも地域によっては電力の需要が供給力を上回りそうな場合に備えて、需要家に節電を求める「デマンドレスポンス」を実施するケースが何度かあった。節電に協力した需要家には電気料金を割り引くなどの対価が支払われる(図1)。

図1 従来型のデマンドレスポンスの仕組み。出典:資源エネルギー庁

 ただし最近は企業や家庭の節電対策が進んだために、供給力が不足するような状況は発生せず、デマンドレスポンスの必要性は薄れてきた。同じような節電による電力を融通する仕組みに「ネガワット取引」がある(図2)。従来のデマンドレスポンスと比べた大きな違いは、小売電気事業者が電力の調達方法の1つとしてネガワット取引を利用できることだ。

図2 ネガワット取引の仕組み。出典:資源エネルギー庁

 政府はネガワット取引のルールやガイドラインを2016年度中に整備して、2017年4月1日からネガワット取引を拡大する。需要家が節電した電力を専門の「ネガワット事業者」が集約して、小売電気事業者に供給する仕組みになる(図3)。もし節電した電力量(ネガワット)が計画値と比べて少ない場合でも、地域の送配電事業者(電力会社の送配電部門)が不足分(インバランス)の電力を補充する義務を負う。

図3 ネガワット取引を利用した電力の需給調整。出典:資源エネルギー庁

 電力の市場に新規に参入する小売電気事業者にとって、当面の大きな課題は需要に合わせて供給力を確保することにある。ネガワット取引が増えれば電力の調達先が広がる。需要家には節電した分の対価が支払われるため、電力の使用量を削減するインセンティブが働く(図4)。

図4 電力の需要を制御する2通りの方法(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 ネガワット取引は小売電気事業者と需要家の双方にメリットがあるうえに、国全体で節電を推進する有効な手段になる。残る問題はネガワット取引を適切な方法で拡大するためのルールづくりである。

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