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» 2016年04月19日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2016年版(3)岩手:地熱発電を雪深い山の中で、海岸では波力発電に挑む (1/4)

岩手県で地熱発電の開発が活発に進んでいる。スキー場と温泉が広がる高原地帯に地熱発電所を建設する計画が拡大中だ。太平洋沿岸の漁港では波力発電の実証実験が始まろうとしている。県内の各地で太陽光や風力発電の導入量も増やしながら、2020年に電力の自給率を35%まで高めていく。

[石田雅也,スマートジャパン]

 東北の真ん中を南北に貫く奥羽山脈は地熱資源の宝庫だ。特に岩手県と秋田県のあいだに広がる八幡平(はちまんたい)の周辺には地熱発電所が集まっている。その一角にある安比(あっぴ)地域では、三菱グループが新たな地熱発電の事業化に向けて2014年から調査を実施している(図1)。

図1 岩手県と秋田県の地熱資源開発地域と地熱発電所。出典:三菱マテリアル

 すでに地熱の資源量を確認する長期噴気試験に着手して、発電能力が15MW(メガワット)級の地熱発電所を運転できる資源量を確認した(図2)。地熱発電は出力が安定しているために、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を標準で70%と高く維持できる点が最大のメリットだ。

図2 安比地域の長期噴気試験。出典:三菱マテリアル、三菱ガス化学

 15MWの地熱発電所を運転できると、年間に9000万kWh(キロワット時)にのぼる電力を供給できる見込みだ。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して2万5000世帯分に相当する。建設予定地の八幡平市の総世帯数は約1万世帯で、その2.5倍に匹敵する規模の電力量になる。

 三菱グループは2015年10月に地熱発電を推進する事業会社を設立して、発電所の建設に向けた環境影響評価の手続きを開始した。順調に進むと2017年内に手続きを完了する見込みで、2018年から発電所の建設に入る予定だ。2020〜21年には運転を開始できる可能性が大きい。

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