電力のCO2排出量を34%削減へ、閣議決定した「地球温暖化対策計画」法制度・規制(2/2 ページ)

» 2016年05月17日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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小売電気事業者も非化石燃料を44%以上に

 電力の供給や利用に伴うCO2排出量を削減するためには、企業や家庭で省エネルギーに取り組むだけでは達成がむずかしく、発電の段階から大幅に削減する必要がある。主な対策は2つあって、1つは再生可能エネルギーの拡大、もう1つは低炭素電源の拡大だ。低炭素電源には再生可能エネルギーも含まれる。

 再生可能エネルギーには電力と熱があるが、電力だけで2030年度に1兆5616億トン以上のCO2を削減する目標だ(図4)。この削減量は火力発電と比較して算出したもので、2013年度の実績では7906億トンにのぼるCO2を再生可能エネルギーによる電力で削減できている。2030年度は2013年度と比べて削減量を倍増させる必要がある。

図4 再生可能エネルギーの拡大策と期待効果。「排出削減見込量」は2013年度の火力発電と比較して算出。kWh:キロワット時、kL:キロリットル、t-CO2:CO2換算トン。出典:環境省

 そのために国全体の電源構成(エネルギーミックス)の中で、再生可能エネルギーの比率を2030年度までに22〜24%へ高めていく(図5)。2013年度には水力を含めて再生可能エネルギーによる発電量は全体の11%だったことから、比率を倍増させてCO2の削減量も2倍に増やす。

図5 2030年度のエネルギーミックスの目標。LNG:液化天然ガス。出典:経済産業省

 さらに火力発電の高効率化と原子力発電の再稼働を加えて低炭素電源を拡大する。ただし火力発電の高効率化で削減できるCO2排出量は2030年度に1100億トンにとどまる見込みだ(図6)。再生可能エネルギーの電力を増やして8000〜9000億トンを削減する以外に、原子力でも8000億トン程度を削減して、合計で1兆8800億トンの削減を目指す。

図6 低炭素電源の拡大策と期待効果。「排出削減見込量」は対策を実行しなかった場合と比較して算出。BAT:Best Available Technology、t-CO2:CO2換算トン、kL:キロリットル、kg-CO2/kWh:CO2換算キログラム/キロワット時。出典:環境省

 発電事業者だけではなくて小売電気事業者もCO2排出量の削減に取り組む必要がある。企業や家庭に販売する電力のうち、再生可能エネルギーと原子力を合わせた非化石燃料の比率をエネルギーミックスで定めた44%以上に維持することが求められる。火力発電で作った電力を中心に販売する小売電気事業者にとっては厳しい目標になる。

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