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» 2016年05月23日 12時30分 UPDATE

電力供給サービス:東京電力のシステムに不具合、またも小売自由化に支障をきたす (1/2)

電力・ガス市場を監視する国の委員会は東京電力の託送業務システムに不具合が発生していることを公表した。小売電気事業者が料金を計算するために必要な使用量の通知に遅れを生じている。委員会と資源エネルギー庁は東京電力に対して不具合の原因と今後の対応策について報告を求めた。

[石田雅也,スマートジャパン]

続報(6月13日):「東京電力のシステム不具合が続く、未通知件数が最大4万件超に」

 「電力・ガス取引監視等委員会」(委員長:八田達夫氏)は異例の委員長談話を5月20日に発表した。東京電力の送配電事業会社である東京電力パワーグリッドの託送業務システムに不具合が発生していて、小売電気事業者に送信する電力使用量の確定通知に遅延が生じているという内容だ。「このようなことはあってはならないことで遺憾であります」と厳しく批判した。

 問題の託送業務システムは需要家が電力会社から他の小売電気事業者へ契約を切り替えるうえで欠かせない業務を実行する(図1)。電力の契約変更に関連する情報システムには4種類ある。そのうちの2つは国全体の電力の需給調整を担う「電力広域的運営推進機関」(広域機関)の「スイッチング支援システム」と「広域機関システム」である。

図1 小売全面自由化による契約変更の流れ。出典:電力広域的運営推進機関

 残る2つが電力会社の送配電部門である一般送配電事業者の託送業務システムと小売電気事業者のシステムだ。広域機関と各事業者のシステムがすべて正常に稼働することで、小売全面自由化が円滑に進んでいく(図2)。現在のところ広域機関のシステムにも一部で不具合が発生している。

図2 契約変更に伴う業務と情報システム(画像をクリックすると拡大)。出典:電力広域的運営推進機関

 それに加えて東京電力パワーグリッドの託送業務システムが自由化から1カ月以上を経過しても正常に機能していない。一般送配電事業者から小売電気事業者に対しては、需要家のスマートメーターで計測した30分単位の電力使用量のほかに、月間の使用量を確定したデータも提供することになっている(図3)。

図3 一般送配電事業者と小売電気事業者のデータ連携業務。出典:電力広域的運営推進機関

 小売電気事業者は30分単位の電力使用量のデータから毎月の電気料金を計算して需要家に請求する。その一方で月間使用量の確定通知を一般送配電事業者から受けて、託送料を支払う必要がある(図4)。

図4 電気料金のもとになる発電料と託送料。出典:資源エネルギー庁

 託送料は送配電ネットワークの使用料に相当するもので、小売電気事業者の原価の半分程度を占める大きなコストだ。小売電気事業者にとっては毎月の収支を計算するうえで不可欠な情報であり、迅速に把握できないと当面の事業計画にも影響を与えかねない。

 事態を重く見た電力・ガス取引監視等委員会と監督官庁の資源エネルギー庁は東京電力パワーグリッドに対して5月20日に報告徴収を通達した。東京電力パワーグリッドは託送業務システムの不具合の要因や今後の対応策について近日中に報告しなくてはならない。

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