日産自動車はバイオエタノールで走行する燃料電池システムを開発し、同システムを搭載した燃料電池車の製品化を進めることを発表した。バイオエタノールから水素を作り出し、固体酸化物形燃料電池(SOFC)による発電で、自動車を走行させる。
日産自動車は2016年6月14日、新たな燃料電池システムを開発したことを発表した(図1)。
日産自動車が開発した新たな燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」はサトウキビなど植物由来の材料から生成されるバイオエタノールで駆動させることができる点が特徴である。バイオエタノールから水素を生成し、この水素を使って固体酸化物形燃料電池(SOFC)で発電することで、電気自動車(EV)を駆動させるエネルギーを生み出す(図2)
SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)は、電解質としてイオン伝導性セラミックスを用いている固体型の燃料電池である。作動温度は700〜900℃で、燃料には水素の他に天然ガスなどを利用可能である点が特徴だ。固体酸化物形燃料電池(SOFC)を発電装置としたシステムを、自動車の動力源として搭載する試みは世界で初めてだという(図3)。
「e-Bio Fuel-Cell」を利用することで、ガソリン車並みの航続距離(600km以上)の実現が可能となるという。一方で、電動駆動ならではの静粛性や、リニアな発進、加速などEVの強みも発揮することが可能だ。さらに、SOFCを採用することで燃料電池車(FCV)などで必要となる白金など高価な触媒を使用しないため、自動車となった際にも現行のFCVに比べて低価格に抑えられるとしている。
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