太陽光発電所を襲う「見えない傷」、現場で見つけて発電量を守る太陽光

アドラーソーラーワークスは「PV Japan2016」に出展し、「PVテストカー」を用いた太陽光モジュール検査など、同社の発電設備の運用保守サービスを紹介した。

» 2016年06月30日 15時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 アドラーソーラーワークスは太陽光発電の総合展示会「PV Japan2016」(2016年6月29日〜7月1日、パシフィコ横浜)に出展し、同社の「PVテストカー」を用いた太陽光モジュール検査をはじめとする運用保守サービスをアピールした(図1)。

 同社は太陽光発電のEPC事業を手掛ける横浜環境デザイン(横浜市)と、ドイツの太陽光関連企業であるADLER Solar Servicesの共同出資で2015年5月に設立された企業。横浜環境デザインのグループ企業として、日本国内で太陽光発電所の施工や運用保守、評価・査定サービスなどを展開している。

アドラーソーラーワークスの「PVテストカー」

 ブースで展示した「PVテストカー」は、太陽電池モジュールに発生する「マイクロクラック」などを検査できる装置だ。マイクロクラックとは目視では確認しづらいひび割れや亀裂のことで、放置しておくと徐々に拡大して発電量の低下などにつながる可能性がある。

 こうしたマイクロクラックの確認など、モジュールの詳細な検査は一度専門の施設に運んでから行うことが多い。PVテストカーには高解像度のエレクトロルミネッセンス(EL)画像撮影システムなどが搭載されており、こうした検査を現場ですぐに検査が行えるのが特徴だ(図2・3)。出力検査や赤外線画像を使った検査にも対応する。

図2 「PVテストカー」の検査装置にパネルを取り付けたところ/図3 結果は「PVテストカー」に備え付けられたモニターからも確認できる(クリックで拡大)

 こうしたマクロクラックはモジュール出荷後に運搬中や施工の段階で発生することが多いという。そのためアドラーソーラーワークスではPVテストカーを活用した受け入れ検査として、港や発電所の建設現場での検査も行っている。現在3台のPVテストカーを所有しており、ほぼ全国で検査に対応できるという。

 同社はこの他、モジュールメーカーは横浜市にあるサービスセンターを活用した詳細な検査・修理対応や、既設の太陽光発電所に対する検査・修理サービスも提供している。モジュールメーカーは一定期間の性能保証を設けている場合が多い。しかし、実際にモジュール発電量の低下が見られた場合でも、パネルの性能が落ちているのか、それ以外の要因で発電量が低下しているのかは判断しにくい。発電所の発電量を維持するだけでなく、モジュール交換などのメーカー保証を利用する際の根拠としても、こうした詳細なモジュール検査や発電所の検査は有効だろう。

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