IoT時代のエネルギー事業、顧客が求めるのは「電気やガス」ではない電力供給サービス(1/3 ページ)

電力システム改革をはじめとする制度改革に加え、IoT化が進むエネルギー産業。インテルが東京都内で開催したプライベートイベントの基調講演に、東京ガスと東京電力ホールディングスが登壇し今後の両社の事業戦略について語った。

» 2016年07月15日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 インテルは2016年7月14日、東京都内でプライベートイベント「インテル エネルギー× IoT フォーラム」を開催した。基調講演には主催者であるインテルの他、東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)と東京ガスが登壇し、IoT(Interner of Things)時代の事業戦略について語った。

デジタルビジネスは全員が考える時代に

 さまざまなモノがインターネットにつながるIoTの波は、エネルギー産業にも波及している。例えば、スマートメーターによる電力使用量の把握、発電設備の遠隔制御、より大きな規模ではスマートグリッドのような地域単位でのエネルギー管理など、次世代のエネルギー産業を考える上でIoTの活用は欠かせなくなっている。

インテル 代表取締役社長の江田麻季子氏

 一方で、単にIoTで「データを集められるようになった」だけでは意味がない。企業側はそのデータを活用し、自社の事業やサービスにいかに付加価値を持たせるかが重要なポイントになる。

 基調講演の冒頭に登壇したインテル 代表取締役社長の江田麻季子氏は、こうしたIoTの登場により、あらゆる産業におけるビジネスが「モノ中心」から「データ・通信」の活用へとシフトし、「ビジネスのデジタル化」が進展している点を紹介。そして「こうしたデジタルビジネスは従来企業のIT担当者だけが考えていればよかったかもしれない。しかし、今後はあらゆる立場の人が考えなくてはならない時代になった。もちろん、エネルギー産業も例外ではない」と述べる。

 インテルではこうした企業のデジタルビジネス分野を支援するソリューションを、メモリ、プロセッサに続く同社の新しい成長基盤に据え、クラウドやデータセンター、FPGA、ネットワーク技術など、デジタルビジネスに求められる技術・サービスに積極的に投資を進めていくという。江田氏はこうした技術・サービス活用し、同社がスマートグリッドの構築や、需要予測に基づく発電量の最適化、スマートホームなど、エネルギー分野のデジタルビジネスにも取り組んでいる点を紹介した(図1)。

図1 インテルが取り組むエネルギー分野(クリックで拡大)出典:インテル
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