1時間でFCV2台分の水素を生み出す国内最大級の製造装置蓄電・発電機器(1/2 ページ)

東芝は1時間で燃料電池自動車2台分の燃料に当たる水素を製造可能なアルカリ水電解式の水素製造装置を開発した。アルカリ水電解式の水素製造装置としては日本最大級とし、2016年度中の販売開始を予定している。

» 2016年07月19日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 東芝では、2015年4月にグループ内の水素関連技術をまとめて組織化し、水素関連技術の一貫ソリューションを開発する方針を示した。これらの方針に合わせて府中事業所内に水素エネルギー研究開発センターを設立し、水素関連の技術の開発を進めている(図1)。

photo 図1 水素エネルギー研究開発センターの外観 出典:東芝

 これらの方針のもと、東芝では水素関連技術への取り組みを強化。自立型の水素エネルギー供給システム「H2One」の導入を拡大する(関連記事)など、水素関連の取り組みを拡大している(図2)。

photo 図2 東芝の保有する水素関連技術 出典:東芝

 今回はこれらの技術の中の「水素製造」に関連する技術を新開発した。開発したのは、1時間で燃料電池自動車(FCV)2台分の燃料にあたる約100Nm3(ノルマル立方メートル)の水素を製造可能なアルカリ水電解式の水素製造装置である。

 アルカリ水電解式の水素製造装置は、電極基材に貴金属を使用していないため、貴金属を使用する他方式よりも低コストで電極を大型化できるといい、装置の大規模化に適している。東芝の保有する整流器や水素精製の技術を水電解技術と組み合わせることで、装置を大型化しても、全体のエネルギー効率を低コストで最適化することに成功した。水の電気分解に用いられる電解液に高濃度の水酸化カリウム水溶液を使用していることから、氷点下の環境においても電解液が凍結しないという特徴も持つ。東芝では、今回開発したシステムは日本国内では最大級だとしている。2015年度中の発売を目指して開発を進めていくとしている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.