神鋼真岡発電所の電力はプロジェクトを開始した当初の計画では東京電力に供給することを想定していたが、2014年3月になって東京ガスに全量を販売することで合意した。小売全面自由化を機に電力事業の拡大を目指す両社の思惑が一致した結果だ。
東京ガスは2020年に首都圏の電力需要の1割に相当する300億kWh(キロワット時)の販売目標を掲げて、営業体制と合わせて供給力の強化に取り組んでいる。2020年までに300万kW(キロワット)の電源を開発する計画で、神鋼真岡発電所が加わると280万kWに達する(図5)。
さらに2017年4月に始まるガスの小売全面自由化に向けて、都市ガスの供給ルートの増強も進めている。従来は東京湾岸のLNG基地を中心に供給エリアを展開してきたが、新たに北関東にも広げる。茨城県の太平洋沿岸部に「日立LNG基地」を建設して2016年3月に稼働させた。このLNG基地から栃木県の真岡市までパイプラインを敷設済みで、高圧の都市ガスを供給できる状態になっている(図6)。
東京ガスは神鋼真岡発電所に続いて、神奈川県で運転中の「川崎天然ガス発電所」を増強する計画にも着手した。東京ガスグループが湾岸地域で運営する4カ所のガス火力発電所の1つで、現在の発電能力は84万kWである(図7)。新たに55万kWの発電設備2基(合計110万kW)をコンバインドサイクル方式で増設して、2021年をめどに運転を開始する予定だ。自社と他社の火力発電所を組み合わせて供給力の拡大を急ぐ。
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