東京電力PGの託送業務システムで発生している不具合は多岐にわたっている。需要家ごとの電気使用量を確定できない要因は主に4つある(図5)。最初の要因は電気使用量を確定するために必要なデータがシステム内にあるにもかかわらず、データの連携処理を正しく実行できていないケースだ。
検針済みのデータを料金計算の機能に引き継げていない場合や、メーターから送られてきたデータが託送業務システムに取り込めていない場合が該当する。この種の問題であれば、データの連携処理を再度実行することで未通知を解消できている。
それよりも厄介なケースは、託送業務システムの中に必要なデータが存在しない場合だ。データが不足してしまう要因は3通り想定できている。1つ目はメーターが計量するデータそのものが不十分なケースで、担当者が現地に出向いて再検針を実施しても確認できない場合がある。
2つ目は旧式のメーターでは計量できないデータがあって、それを補完する処理をシステムで実行できていない問題だ。そして3つ目は旧式のメーターから新型のスマートメーターに取り替えが必要なケースで、取り替えに関する情報が正しくシステムに登録できていない。
こうしたデータの不足が原因になっている場合には、データの再確認・再登録を実行しても電気使用量を正確に計算できない可能性がある。実際に7月4日に検針した需要家のうち665件については、7営業日後になっても電気使用量を確定できなかった。政府の指針では4営業日以内に電気使用量を確定して小売電気事業者に通知することを求めているにもかかわらずだ。
東京電力PGが原因を詳しく調査して追加の対策を実行した結果、11営業日後には未通知の件数を294件まで減らすことができた(図6)。さらに対策を継続して未通知の早期解消を目指すが、それでも電気使用量を確定できないケースが残る見込みだ。
そうなると小売電気事業者は電気料金を計算できず、需要家に請求できなくなってしまう。東京電力PGは小売電気事業者とのあいだで「協定」と呼ぶ話し合いを実施して、どのような方法で電気料金を確定させるかを個別に決める方針だ。しかし需要家が納得する形で電気料金を請求することは簡単ではない。
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