電力網を進化させる「仮想発電所」、関西電力など14社が実証開始エネルギー管理(1/2 ページ)

関西電力など14社は、関西地域で仮想発電所の構築に向けた実証を開始した。家庭用から産業用まで、さまざまなエネルギー機器を統合管理できるシステムを構築し、検証を行っていく。

» 2016年08月01日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 地域内に点在する再生可能エネルギー発電設備や蓄電池を統合制御して、地域全体を1つの発電所のように機能させる「仮想発電所」。バーチャルパワープラント(VPP)とも呼ばれ、エネルギーの効率利用や再生可能エネルギーの導入拡大に貢献する技術として期待されている。

 欧米を中心に広がってきたVPPだが、日本でも実現に向けた実証試験が活発になっている。2016年7月28日から関西電力をはじめとする合計14社の共同実証事業が始まった。経済産業省が実施する「バーチャルパワープラント構築実証事業」の一環として行うものだ。

 実証に参加するのは関西電力の他、富士電機、三社電機製作所、GSユアサ、住友電気工業、日本ユニシス、NTTスマイルエナジー、エネゲート、エリーパワー、大林組、関西電気保安協会、ダイヘン、Nature Japan、三菱商事の14社。2017年2月28日まで実施する計画だ。

IoTで統合管理

 実証では関西電力管内の電力系統に点在するさまざまな需要家の機器を、アグリゲーターがIoT(Internet of Things)化して一括制御する。これにより電力需要の抑制と創出を狙う(図1)。

 アグリゲーターはこうしたVPPの構築によって、さまざまなサービスの提供が可能になる。例えば小売事業者に対しては計画外に必要となった電力を、アグリゲーター側で需要を調整して電力供給を行うといったサービスを提供できる。この他にも、再生可能エネルギー発電事業者に対しては、アグリゲーターが需要の創出を行うことで発電抑制を回避する、地域・顧客に対してはエネルギーコストの低減や再生可能エネルギーによる自家消費の促進といったサービスが検討できる。

図1 実証のイメージ 出典:関西電力

 統合制御する機器は、家庭の場合はHEMS、空調設備、給湯器、電気自動車、蓄電池、太陽光発電システム、業務用・産業用の機器では、BEMS、FEMS、大型蓄電池などを対象とする(図2)。今後対象機器の拡大も検討していく方針だ。

図2 統合する機器と各社の役割 出典:関西電力
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