出力抑制が頻発した離島、「仮想発電所」で太陽光の発電損失を回避エネルギー管理(1/2 ページ)

SBエナジーは経済産業省の「バーチャルパワープラント構築事業」の一環として、長崎県の壱岐島で再生可能エネルギー電源や蓄電池を統合制御する「仮想発電所」の構築実証を実施する。出力制御指令が発令された場合を想定し、複数の蓄電池を統合制御して電力供先を生み出すことで、発電事業者の発電機会の損失を回避する。

» 2016年08月04日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 ソフトバンクグループで再生可能エネルギー事業を手掛けるSBエナジーは2016年7月 25日、経済産業省の「バーチャルパワープラント構築実証事業」における「バーチャルパワープラント構築事業」の間接補助事業者に採択されたと発表した。

 同実証では長崎県の壱岐島で、再生可能エネルギーによる発電設備と、電気自動車(EV)を含む電力需要家側の蓄電設備を統合的に制御することで、「仮想発電所」(バーチャルパワープラント、VPP)を構築する。このVPPを活用して、出力制御指令が発令された際、太陽光発電事業者の発電機会損失の回避を図る。

壱岐島では出力制御が頻発

 九州電力によれば、壱岐島の再生可能エネルギーの接続可量は接続可能量は約5900kW(キロワット)である。しかし既にこれを大きく超える再生可能エネルギー電源が接続されている状況だ(図1)。

図1 壱岐島における再生可能エネルギー電源の接続状況 出典:九州電力

 こうした状況のため、壱岐島では昼間の電力需要が少ない時間帯に、電力供給が需要を超えるリスクが高まり、2016年の4月と5月は初めての出力制御が実施された。4月と5月に3回ずつ、合計6回の出力制御が行われた。いずれも午前9時から午後16時の間の出力を抑制している。

 出力制御は壱岐島だけでなく、2016年の同時期に種子島でも実施されている。種子島では2015年5月に全国で初めて出力制御が行われたが、以降現時点までに10回以上実施されている。再生可能エネルギー電源の接続状況を考えると、今後もこうした出力制御指令が発令される確立は高い。

 実証ではこうした出力制御指令が発令された場合、複数の蓄電池を統合制御するVPPを活用して、発電事業者の発電機会の損失を回避し、電力の有効利用を図る狙いだ。

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