送配電事業者と連携する顧客管理業務、需要家の使用量を取得して料金計算に電力自由化で勝者になるための条件(13)

小売電気事業者が顧客管理のために整備すべき仕組みの1つに、送配電事業者から需要家の使用量を取得する業務がある。料金計算の元データになるもので、取得するタイミングに合わせて効率的に処理できる仕組みが必要になる。さらに使用量の速報値を取得して需給管理にも利用できる。

» 2016年09月14日 15時00分 公開

連載第12回:「電気料金の計算は簡易方式で、使用量の確定タイミングも重要」

 小売電気事業者が送配電事業者とのあいだでやり取りする顧客管理業務には次の3つがある。

1.使用量の速報値の取得

2.使用量の確定値の取得

3.託送契約情報などの取得

 1つ目の速報値は日々の需給を管理する仕組みで取得して、監視業務に利用する。高圧の需要家向けに刻々と変わる電力の使用量を見える化して、需要抑制などにも利用することになる。

 2つ目の確定値は高圧と低圧で取得できるタイミングが異なる。顧客管理の面では需要家ごとの実績値として蓄積・参照するために必要なもので、料金計算の元データになる(図1)。

図1 送配電事業者との連携の仕組み(画像をクリックすると拡大)。

 確定値の取得方法には2つのパターンがある。需給管理の仕組みで取得して料金計算に渡すパターンと、需給管理と料金計算の双方で取得するパターンがある。前者の方式は効率的に見えるが、需給管理の仕組みと顧客管理の仕組みは個別になっている場合が通常であり、むしろ連携が煩雑になるケースもある。

 3つ目の託送契約に関連する情報としては、電力取引のガイドラインにおいて需要家の請求明細に託送料金を表示することが「望ましい行為」として期待されている。ただしオペレーションコストを考慮すると、送配電事業者からの提供形態にもよるが、慎重に見極めて対応する必要がある。

連載第14回:「収入管理の業務コストは大きい、口座振替やコンビニ収納の仕組みを用意」


著者プロフィール

平松 昌(ひらまつ まさる)

エネルギービジネスコンサルタント/ITコスト削減コンサルタント。外資系コンピュータベンダーやベンチャー事業支援会社、電力会社の情報システム子会社を経て、エネルギービジネスコンサルタントとして活動中。30年間にわたるIT業界の経験を生かしてITコスト削減支援および電力自由化における新電力事業支援を手がける。Blue Ocean Creative Partners代表


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.