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» 2016年09月28日 15時00分 UPDATE

電力自由化で勝者になるための条件(17):小売電気事業者に欠かせない需給管理の業務、外部委託も有効な選択肢

電力の小売事業で重要な業務の1つが需給管理である。過去の実績値をもとに需要を予測したうえで、それに合わせて電源を調達する。日々の需給計画を広域機関に提出する必要があり、効率的に計画を策定できるシステムの整備が欠かせない。需給管理業務を外部に委託することも選択肢の1つになる。

[平松 昌/エネルギービジネスコンサルタント,スマートジャパン]

連載第16回:「小売業務の効率を左右するシステム連携、工夫次第でコストを抑制できる」

 需給管理の業務は、計画策定、日々の需給管理・監視、電力取引、の3つの業務に分けることができる。具体的には、当日の業務の流れと進捗を確認するTo-Do管理機能をはじめ、需給予測・電源計画策定・需給監視機能、取引の収支を把握する収支管理機能、さらに卸電力市場と前日・当日に取引する機能を用意する必要がある(図1)。

図1 需給管理システムに必要な機能(画像をクリックすると拡大)。BG:バランシンググループ、CIS:顧客情報管理システム、JEPX:日本卸電力取引所、OCCTO:電力広域的運営推進機関

 需給管理業務の中でも重要な需要予測は、過去の実績値をベースに、平日・休日や気温などの外部要因を加味してデータを補正して最終的に確定させる。高圧の需要家に対しては休暇の期間なども考慮しなくてはならない。

 需要予測が確定した状態で、次に調達側の電源を割り当てていく(ポジション作成)。自社電源、相対取引、常時バックアップ,FIT(固定価格買取制度)電源などを割り当て、過不足の分を追加の電力取引で調整することになる。

 そのうえで翌日の需給計画を確定して広域機関(電力広域的運営推進機関)に提出し、事業者に求められる計画値同時同量に対応する流れになる(図2)。当日は監視業務を行うが、予想が外れそうな場合には追加の電力取引を通じてインバランスが発生しないように調整を図る。計画を変更するつど広域機関へ提出する必要がある点に注意したい。

図2  小売電気事業者が電力広域的運営推進機関に提出する計画。出典:電力広域的運営推進機関

 需給管理は新たに参入する事業者にはハードルの高い業務である。当初は外部に委託するか、バランシンググループに入るなどの選択肢もある。しかしながら中長期に小売事業を継続していくならば、最終的には自社で運用できるのが望ましい。

 今後はネガワット取引や先物取引の増加で卸電力取引所の活用方法に変化が生じる。需給管理の業務で重要なインバランスの制度も変わっていく。全般的な動向に十分に注目しながら、自社の戦略とコスト面のバランスを考慮してシステムを構築すべきである。

連載第18回:「卸市場を活用した電力取引で需給調整、前日と当日で取引の仕組みが違う」


著者プロフィール

平松 昌(ひらまつ まさる)

エネルギービジネスコンサルタント/ITコスト削減コンサルタント。外資系コンピュータベンダーやベンチャー事業支援会社、電力会社の情報システム子会社を経て、エネルギービジネスコンサルタントとして活動中。30年間にわたるIT業界の経験を生かしてITコスト削減支援および電力自由化における新電力事業支援を手がける。Blue Ocean Creative Partners代表


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