電車も燃料電池で走る時代、ドイツで2018年に運行開始蓄電・発電機器(1/2 ページ)

フランスの鉄道供給会社が世界で初めて燃料電池で走る電車を披露した。車両の屋根に燃料電池を搭載して、水素で発電した電力を蓄電池に充電しながら最長800キロメートルを走行できる。電化していない区間でディーゼル車に代わるエコな電車になる。2018年にドイツで運行を開始する予定だ。

» 2016年09月28日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 ドイツのベルリンで9月20日〜23日に開催した輸送車両の展示会「InnoTrans2016」の会場に、燃料電池で走る電車が初めて姿を見せた。フランスの鉄道供給会社アルストム(Alstom)が開発した「Coradia iLint(コレイディア・アイリント)」である(図1)。

図1 燃料電池で走る電車「Coradia iLint」の外観。出典:アルストム

 Coradia iLintは電化していない区間でも走ることが可能な近距離用の電車で、現在の設計では2両編成で走行する。各車両の屋根の上に燃料電池と水素タンクを搭載するほか、床下にリチウムイオン蓄電池を内蔵して電力を充放電する仕組みだ(図2)。電車の走行状態をもとに発電と蓄電を効率的に制御するエネルギー管理システムも搭載している。

図2 電車の屋根に燃料電池を搭載(上、画像をクリックすると拡大)、発電と蓄電の仕組み(下)。出典:アルストム

 水素タンクを満タンにした状態で600〜800キロメートルの距離を走ることが可能だ。走行後には車両基地に戻って水素を充てんする。走行スピードは最高で時速140キロメートルまで出せる。2両編成で座席数は合計150席、さらに立っている乗客を含めると300人まで乗車できる(図3)。

図3 「Coradia iLint」の車内のレイアウト。出典:アルストム
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