東京電力の管内で需給率97%の予報、季節外れの雪で暖房需要が増加電力供給サービス

本日11月24日(木)の早朝から降り始めた雪の影響で、東京電力管内の電力需要が想定以上に増えている。東京電力パワーグリッドは午前11時台に需給率が97%の「非常に厳しい」状態になる予報を出した。管内の家庭や企業に対して空調の温度設定の変更や照明の間引きなどを求めている。

» 2016年11月24日 11時42分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 東京電力管内の「でんき予報」。出典:東京電力パワーグリッド

 東京電力の管内では午前11時台に需要が4821万kW(キロワット)に達する予報が出た。東京電力グループは供給力を急きょ4967万kWまで増やしたが、それでも需給率は97%の「非常に厳しい」状態になることが想定されている(図1)。

 午前11時現在の需要は4736万kWで、需給率は95.3%まで上昇した(図2)。まだピークの想定よりも85万kW低いものの、予備率(需要に対する供給力の余裕)は4.9%まで下がっている。電力の安定供給には予備率を3%以上に維持することが目安になる。

図2 東京電力管内の電力需給状況。出典:東京電力パワーグリッド

 冬の電力需要は昼間よりも夕方に上昇する傾向がある。気温が低下して暖房需要が増加する一方、照明の点灯箇所が増え、家庭では夕食の準備が始まるためだ。実際に東京電力の管内でも11月1日〜23日の需要のピークは17時台が多い(図3)。本日24日は11時台がピークになる予想だが、引き続き夕方から夜にかけて節電が必要になりそうだ。

図3 東京電力管内の11月の電力需給実績(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド

 全国の電力需給を監視・調整する電力広域的運営推進機関(広域機関)が集約した各地の状況によると、東北電力の管内で17時台に需給率が93%まで上昇する程度で、電力の供給を心配する必要はない(図4)。北海道では予備率が20%を上回って安定した状態を維持する。

図4 全国各地の電力需給見通し(11月24日、画像をクリックすると拡大)。出典:電力広域的運営推進機関

 広域機関が10月18日の時点でまとめた今年度の冬(12〜3月)の需給バランスの見通しでは、東京電力の管内は2月に予備率が4.3%まで低下する可能性があるものの、12月には10%以上を上回って安定した需給状態を維持できる予想だった(図5)。

図5 2016年度の冬の需給バランスの見通し(2016年10月18日時点)。出典:電力広域的運営推進機関

 12月の需要の最大値は4683万kWの見通しで、本日11月24日のピークの想定値はその水準を138万kWも上回っている。冬を前に季節外れの雪が電力の需給バランスを厳しくさせた。

 ただし東京電力管内の12月の供給力は5350万kWを見込んでいるため、本日並みの天候になっても想定どおりの供給力を用意すれば予備率は10%以上を確保できる。冬を迎えて電力会社は供給力を増やす準備を急ぐ必要がある。

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