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» 2017年02月14日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2016年版(42)長崎:海が生み出す風力と潮流発電、陸上では太陽光から水素も作る (1/4)

長崎県の沖合で日本初の浮体式による洋上風力発電所が商用運転中だ。さらに世界最大級の潮流発電機を2つの島のあいだの海底に設置するプロジェクトが始まった。空港の隣には大規模なメガソーラーが運転を開始し、テーマパークのホテルでは太陽光から水素を作って客室に電力を供給する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本は国土が狭い代わりに周辺を海に囲まれているため、洋上風力発電に対する期待は大きい。ところが遠浅の海域が少なく、発電設備を海底に固定しない浮体式で建設する必要がある。長崎県の西に広がる五島列島の沖合では、日本で初めて浮体式の洋上風力発電所が2016年4月から商用運転に入った。

 五島列島の中でも面積が最も大きい福江島(ふくえじま)の沖合5キロメートルの場所に、「崎山(さきやま)沖2MW浮体式洋上風力発電所」が浮かんでいる(図1)。名前が示すように発電能力が2MW(メガワット)の浮体式による発電設備だ。

図1 「崎山沖2MW浮体式洋上風力発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。出典:戸田建設(撮影:西山芳一)

 この洋上風力発電設備は福江島の北東にある椛島(かばしま)の沖合で2013年から実証運転を続けてきた。3年間の実証事業を通じて事業性・安全性・環境性のいずれも商用化できるレベルにあることを確認した。そこで実証事業の中核を担っていた戸田建設が運営会社の「五島フローティングウィンドパワー」を設立して、電力の需要が大きい福江島の沖合に発電設備を移して商用運転へ移行した(図2)。

図2 「崎山沖2MW浮体式洋上風力発電所」の位置。出典:五島フローティングウィンドパワー

 洋上に浮かぶ発電設備は細長い円筒形の浮体の上に大型の風車を搭載している。全体の長さは172メートルで、下の半分が水中に沈む構造だ(図3)。浮体の部分は細長いとはいっても直径が7.8メートルもあり、耐久性のあるコンクリートで造られている。その上部で回転直径80メートルの大型風車が風を受けて回転しながら発電する。総重量は3400トンにのぼり、低い重心を保って強風や高波にも耐えることができる。

図3 浮体式による洋上風力発電設備の構造。出典:戸田建設

 福江島の沖合には年間を通じて強い風が吹き、平均風速は7メートル/秒以上に達する(図4)。平均風速が7メートル/秒の場所では、風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は30%を上回る。2MWの風力発電機1基で年間に560万kWh(キロワット時)程度の電力を供給できる見込みだ。

図4 五島市の風況(地上70メートルの年間平均風速)。m/s:メートル/秒。出典:五島市(NEDOの資料をもとに作成)

 想定できる発電量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1600世帯分に相当する。福江島の総世帯数(1万6000世帯)の1割をカバーできる。洋上風力発電所から福江島までは、5キロメートルの海底ケーブルで送電線がつながっている。陸上の受変電所が送電線から電力を受けて、福江島の各世帯へ供給する仕組みだ(図5)。

図5 洋上風力発電所から福江島までの送電方法。出典:五島フローティングウィンドパワー
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