海に囲まれて島が多い長崎県には水力発電所がない。それ以外の太陽光・風力・地熱・バイオマスの4種類が固定価格買取制度を通じて着実に増えてきた(図9)。中でも太陽光発電の導入量が際立っている。
太陽光発電では「長崎空港」の隣接地で稼働したメガソーラーの規模が大きい。長崎空港は県の真ん中に広がる大村湾に浮かぶ海上空港である(図10)。空港の埋立地の一部を利用して2016年8月にメガソーラーが運転を開始した。
長さが3000メートルの滑走路の横にあって、用地の面積は34万平方メートルに及ぶ(図11)。この広大な未利用地に合計18万枚の太陽光パネルを設置した。発電能力は30MWに達して、現在のところ長崎県内で最大の太陽光発電所である。建設費は約100億円かかった。
年間の発電量は3700万kWhを見込み、一般家庭の1万世帯分を超える。長崎空港がある大村市の総世帯数(4万2000世帯)の4分の1に匹敵する電力になる。空港から陸上までは約10キロメートルに及ぶ海底ケーブルを通じて送電する。固定価格買取制度で売電して、年間の収入は10億円を超える見込みだ。
空港の滑走路の近くに大量の太陽光パネルを設置すると、パネルの表面で反射する光が飛行機の離着陸に支障をきたす可能性がある。この問題を防止するために、光を反射しにくい特性がある太陽光パネルを採用した(図12)。パネルの表面にガラスを装着しない薄膜タイプの製品だ。
メガソーラーの建設・運営は太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティアとガス会社のチョープロが共同で実施する。チョープロは1949年に長崎県で創業したガス会社で、固定価格買取制度が始まった2012年から現在までに県内の14カ所に太陽光発電所を展開中だ(図13)。合計の発電能力は長崎空港のメガソーラーを加えて45MWに拡大した。
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