タフになったブラザーの燃料電池、水素の地産地消にも蓄電・発電機器(1/2 ページ)

ブラザー工業は「FC EXPO 2017」に出展し、新規事業の一環として開発した燃料電池システムを披露した。水素燃料を搭載した従来より耐久性を高めるなど改良を加えており、インフラなどのバックアップ電源としての用途を見込む。大型のモデルを活用し、岐阜県で産学官の連携による水素エネルギーの地産地消も推進中だ。

» 2017年03月07日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 ブラザー工業は「スマートエネルギーWeek 2017」(2017年3月1〜3日、東京ビッグサイト)内の「FC EXPO 2017」に出展し、燃料電池システムを披露した。2016年の発表時と比較して環境耐久性などに改良を加えた他、新しい導入時例も公開している。

 展示した燃料電池システムの1つである「BFC4-W700MH-DC48V」は固体高分子型燃料電池を入れた「発電ユニット」と、水素吸蔵合金を利用した交換式の水素燃料ケースを入れる「燃料ユニット」で構成する。定格出力電圧は48V、電源容量は約3kWh(キロワット時)、最大負荷容量は700W(ワット)で、72時間以上の連続運転が可能としている。

「BFC4-W700MH-DC48V」(クリックで拡大)

 発電ユニットの運転寿命は累積2万時間で、燃料電池ユニットの待機寿命は10年だ。主に非常時のバックアップ電源としての用途を想定した燃料電池システムである。火器を使用しないため消防法上の設置制約を受けない他、排出するのは水だけという利点がある。

 2016年の展示会で披露していたモデルでは、使用環境温を最大40度までとしていたが、今回展示した新モデルでは50度にまで引き上げた。なお、最低は−10度まで。2016年からサンプル出荷を進める中で「インフラのバックアップ電源として利用するために、使用環境温度を引き上げてほしいという要望が多かったため改良を行った。直射日光のあたる真夏の屋外でも利用可能だ」(ブース担当者)という。寒冷地向けタイプも耐久性を向上させた他、防じん防滴性能も従来のIP44から、IP54にまで引き上げている。

 発表以降、通信基地、鉄道や信号機などインフラのバックアップ電源としての引き合いが多いという。現在もサンプル出荷が中心となるが、価格は「従来は500〜600万円程度を目安としていたが、新しい700Wのモデルではこれを下回るような価格で提供していきたいと考えている」(ブース担当者)としている。

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