国内エネルギー消費量は1990年度水準に、再エネと原子力再稼働でCO2も減少傾向エネルギー管理(1/2 ページ)

資源エネルギー庁が2015年度のエネルギー需給実績をまとめた。日本のエネルギー消費量は1990年度とほぼ同水準まで下がった。省エネの促進などにより震災以降5年連続で減少が続いている。再生可能エネルギーの普及や原子力発電所の再稼働などにより、エネルギーに起因したCO2排出量の削減も6年振りに2年連続で減少した。

» 2017年04月19日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 資源エネルギー庁は4月13日に2015年度のエネルギー需給実績を公表した。最終エネルギー消費は前年度比1.4%減となり、5年連続の減少となった。省エネの進展や気候の影響などにより、全部門で消費量が下がっている。東日本大震災をきっかけとした減少傾向は継続中で、日本の最終エネルギー消費量はほぼ1990年度と同水準まで下がってきた。

最終エネルギー消費の推移(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁

 最終エネルギー消費量を部門別に見ると、企業・事業所他部門は前年度比0.9%減となった。企業・事業所他部門は最終エネルギー消費の63%を占めており、削減の寄与率としては最も高くなっている。内訳を見ると農林水産鉱建設業は同2.7%増となったが、事業所他部門の3分の2を占める製造業で同0.7%減、業務他(第三次産業)が同1.9%減となり、全体の消費量は下がった。

 前年度比で最も減少率が高かったのは家庭部門だ。同3.3%減となっている。前年度と比較して夏が涼しく冬は暖かかった影響で冷暖房・給湯需要が減少したことが大きく影響した。運輸部門は前年度比1.6%減で、内訳を見ると旅客部門は輸送量が前年度から増加したものの、自動車燃費の改善などにより同1.2%減、貨物部門は輸送量の減少などから同2.3%減となった。

部門別最終エネルギー消費(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁

 一次エネルギーの国内供給は前年度比1.4%減となり、2年連続で減少した。石油が同0.5%減の41.5%、天然ガスが同0.9%減の24.3%と、ともに減少した。石炭については発電用消費や最終消費は減少したものの、発電所や工場で在庫が積み増されたことで、同0.7%増の25.9%を占めている。

 一方、電源構成における未利用エネルギーと水力を含む再生可能エネルギーと、原子力発電のシェア率はそれぞれ同0.4%増加した。原子力については2015年8月に九州電力の「川内原子力発電所」が再稼働したことで、0.4%に増えている。

 再生可能エネルギーのうち、水力は2015年度の設備容量が前年度比0.9%増、出水率は107.4%と高かったことが寄与して同3.3%増と3年連続で増加。全体におけるシェア率は3.6%だ。再生可能および未活用エネルギーでは、未活用エネルギーが同0.3%減と減少した一方で、太陽光を中心に自然エネルギーは5.6%増と増加し、全体で2.7%増とこちらも3年連続で増加している。水力、再生可能、未利用を合計したシェア率は8.2%となった。

エネルギー源別一次エネルギー国内供給量(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁
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