建設する水素製造工場は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)までに稼働させる計画だ。再生可能エネルギー電源を利用して製造したCO2フリー水素は、東京に運搬し、東京五輪で活用することも計画されている。
2016年5月に福島県と東京都、さらに産業総合研究所と東京都環境公社が加わり四者協定を締結。水素を製造する福島県と利用する東京都が連携して研究開発を進め、両地域の民間企業を相互支援して産業の振興にもつなげる計画である。
東京に運んだ水素は、今後普及が見込まれる燃料電池システムや燃料電池自動車(FCV)に供給する構想となっている。東京都が目指す水素社会を促進しつつ、福島県のエネルギー産業の拡大も図る。
今回福島県が政府に推薦する浪江町は、福島第一原発事故の影響で甚大な被害を受け、2017年3月31日まで広い地域で避難指示が出ていた自治体だ。現在でも8割以上の地域が帰宅困難区域に指定されている。かつて「浪江・小高原子力発電所」の建設が予定されていた地域でもある。また、同町は第2次復興計画でとして「水素エネルギーを活用したまちづくり」を掲げている。
2017年5月15日に定例会見を開いた福島県の内堀雅雄知事は、「今回計画している水素製造工場は世界最大の拠点となる。日本一ではなく、世界一のものを2020年に向けて作っていくというビッグプロジェクト。しかも、今回推薦した浪江町は、避難指示により全町避難していた自治体でもある。そのような地において、2011年の東日本大震災、原発事故から10年の節目である2020年には、一定の住民の方がふるさとに戻り、このような世界最大の水素製造拠点をつくり、次の時代を切り拓く大事な拠点になり得ることを国内外に示すことが、福島の復興が進んでいることの1つのシンボルになると期待している」とプロジェクトへの期待を語った。
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