日本と同じ島国のイギリスでは火力発電の比率が高く、しかも電力の卸売価格が近隣諸国と比べて高いという問題を抱えている。こうした課題を国際連系線で解決できる期待は大きい。最近では欧州の電力取引のハブになっているオランダから大量の電力を輸入できるようになり、新たに北欧のノルウェーやデンマークからも国際連系線を通じて安価な水力・風力の電力を輸入する計画が進んでいる(図6)。
2011年にイギリスとオランダの間で運転を開始した国際連系線の「BritNed(ブリットネッド)」の事業規模を見ると、オランダからイギリスへ融通する電力量が年々増加して、2015年には年間で80億kWhにのぼった(図7)。さらにイギリスとオランダ間の電力価格差が拡大したことにより、BritNedの送電事業の売上高は2億ユーロ近くまで達した。建設に掛かった総事業費(6億ユーロ)を数年のうちに回収できる見通しだ。
これに加えてイギリスには北欧から新たに水力や風力の電力が国際連系線で入ってくる。欧州各国の卸電力の取引価格を比較すると、自然エネルギーの比率が高い北欧4カ国を含む卸電力取引所「Nord Pool(ノルドプール)」の価格が最も低い(図8)。2015年にはイギリスの半値以下の水準になっている。2つの地域間を国際連系線で接続すれば、イギリスの卸電力の価格低下と自然エネルギーの利用拡大が期待できる。
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