東京電力がIoT住宅の“プラットフォーマー”へ、ソニー発AIベンチャーの技術がカギにスマートハウス(1/2 ページ)

東京電力がIoTを活用した住宅向けエネルギーマネジメントサービスの開発に向けて、大和リビングマネジメントと共同で実証実験を開始する。ソニー発のベンチャー企業であるインフォメティスとも提携し、同社が持つ「機器分離推定技術」で電力の使用状況に応じて家電製品を自動制御し、エネルギーを効率運用できるサービスの開発を目指す方針だ。

» 2017年06月22日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 東京電力パワーグリッド(以下、東電PG)と大和ハウスグループの大和リビングマネジメントは、IoT(Internet of Things)を活用した住宅向けエネルギーマネジメントシステムの構築に向け、実証実験に着手する。電力の使用状況に応じて家電製品を自動制御し、エネルギーを効率運用できるシステムの開発を目指す。

 実証実験は大和リビングマネジメントがサブリース事業を展開する関東および関西の賃貸住宅50戸を対象に、2017年8月1日〜10月の期間実施する計画だ。対象の住宅内には電気の使用状況から家電製品の種類ごとの利用情報が抽出可能な電力センサーと、住宅内の温度や湿度などを測定する環境センサー付きのマルチリモコンを設置する。

 東電PGは、専用の電力センサーから得られる電気の使用状況を用い、電気使用量を予測する分析アルゴリズムを持ったIoTプラットフォームの開発に取り組む。大和リビングマネジメントは、東電PGが提供する電気の使用状況ならびに分析アルゴリズム結果や、環境センサー付マルチリモコンから得られる温度や湿度などの情報を、同社が提携しているIoTプラットフォーム「plusbenlly(プラスベンリー)」に取り込み、エアコンなどの家電製品を自動で運用・制御する機能の開発を目指す。

実証実験の概要 出典:東京電力HD

 両社はこれら2つのプラットフォームの連携により、家電製品を自動で運用・制御するノウハウに加え、各プラットフォームの有効性も検証する。その後、賃貸物件への本格導入についての検証を進める方針だ。

 将来は音声認識端末を連携させ、音声による家電製品のコントロールや、快適な睡眠環境の実現に向け、電気の使用状況などから得られた情報に基づき、生活リズムを生かした家電製品の自動運用・制御についての実験や検討も行う予定としている。大和リビングマネジメントは環境に配慮した住環境の提供や家賃と光熱費をセットにした賃貸モデルを実現するための方策も検討する。

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