急に発電量が落ちた時、太陽光パネルをどう検査すべきか太陽光(1/2 ページ)

売電収益に直結する太陽光発電の“発電量”。もし、急激な落ち込みが見られた場合、どうすべきか。太陽光パネルの検査手法について、ADLER Solar Worksが解説する。

» 2017年10月16日 07時00分 公開
[Bernhard Gluck/ADLER Solar Worksスマートジャパン]

 太陽光発電は“分かりやすい”技術だ。分かりやすいとは「建設と運用が“管理可能である”」という意味である。そのため、太陽光を利用した発電から得られる利益についても、明確に定義しやすい。この特性と、現在の市場の状況により、太陽光発電は人気の高い投資対象となっている。

 太陽光発電所の建設に関する投資は、通常、当初の投資計画の誤差1%以下が好ましい。その中で、対投資効果だけが優先されてしまい、最適な設計や部材、保守製品の選定が配慮されない場合もある。太陽光市場の活況で、建設スケジュールは非常にタイトになっている影響もあり、市場には故障のリスクを持つぜい弱な案件も増えている。

 太陽光発電所における発電量の監視には、日射計と電力量計が最低限必要だ。実際の発電量と、特定の条件下における想定発電量の比率は、出力係数(パフォーマンスレシオ、PR)で表す。IEC基準「61724-1:2017」に準拠した高精度の監視システムで計測した出力係数を調べることで、発電量低下は精度誤差2%以内で検出することができる。

 しかし、最高基準の監視システムは、太陽光発電所の規模が2MW以下の案件ではコストパフォーマンスが低い。そのため2MW規模の発電所では、検出精度の誤差について3%以上を許容範囲とすることが多い。

 電力系統側の異常、定期メンテナンスや積雪などが発生していないにも関わらず、発電量が低下した場合、その原因を特定する必要がある。そこで、PVモジュールの検査について配慮すべき事柄について下記に記述する。なお、PVモジュールの他に、パワーコンディショナーや変圧器などについても同様の事柄が考慮されるべきである。

 例えば、PVモジュールの発電量が想定を4%下回った場合、最初のアプローチとして、その発電所の合計発電量も4%低下したと考える。

 次に、日本国内における太陽光発電所の多くは、直流発電容量(PVモジュール)が交流発電容量(パワーコンディショナー)を上回る“過積載”と呼ばれる設計になっている点を考慮すべきである。夏の晴れた日の昼の時間帯、発電量はパワーコンディショナーの容量により制限されるため、PVモジュールの発電量低下分がわずかに相殺される。発電所全体で実際に発生する損失発電量は、3〜4%の間である。

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